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2014年8月13日水曜日

目黒から恵比寿へ

写真の展示ではないのですが、目黒区美術館の「ジョージ・ネルソン展」と写真美術館の「フィオナ・タン展」をはしごしました。
 ジョージ・ネルソンはアメリカのミッドセンチュリーを代表する建築家/デザイナー。
展示の主体は家具やオフィス家具、ディスプレイデザインで、半世紀を経てもコンセプトは少しも古びていません。

所々に映画を上映するスクリーンがあり、みとれてしまいました。
「レクイエム」は、廃棄された自動車のスクラップなどを延々と映し、使い捨てにすることへの批判を表明したもの。 アメリカン・カルチャーの絶頂期にあって、そのあり方に疑問を投げかています。
「カウントダウン」は、街角の表札、交通標識、市場の値札など、様々な「数字」を撮影したスライドでカウントダウンしていくというアイデア。 どうしても最後のゼロまで見てしまいますが、その先に仕掛けが・・・ 同世代のチャールズ・イームズにも通じる、おもしろいものでした。

雨も降りそうなのですこし急ぎ足で恵比寿まで歩き、写真美術館の「フィオナ・タン まなざしの詩学」へ。

何の予備知識もなく入ったところ、写真ではなく動画のみの展示でした。 なかでも楽しめたのは「ディスオリエント」。 
大きなスクリーンを寝転がって見上げていると、異世界に踏み込むような気分になります。 作者の意図が那辺にあるのか、ほとんど理解できませんが、仏像や剥製、骨格標本、人形などがうず高く積まれた異国の倉庫を舐めるように見せられていると、この場所を訪れ、8×10で写してみたいという衝動に駆られました。

2014年8月2日土曜日

三陸鉄道 情熱復活物語

出版社に勤務する会員のKさんが編集を手がけた「三陸鉄道 情熱復活物語」が出版されました。昨年の忘年会で「牡蠣くん」を教えてくれたKさんです。
http://zonesys.blogspot.jp/2013/12/blog-post_3261.html


http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gen/gen4lit_etc/santetu_reb/


 7月の末、ちょうど本書を読み終えるころにJR山田線を三鉄が引き受けるかどうか、現地調査が行われたというニュースが流れ、すっかりおなじみになった(つもりの)望月社長をテレビで拝見しました。 まさに現在進行中のドキュメンタリーです。
(岩手県知事のコメントは、JRという巨大組織の無責任さを警戒するようにも聞こえましたが、この点は本書ではあまり深くは追求されていません。)

 本書は悲惨な津波の被害からの復興を描いたドキュメンタリーですが、その視点はあくまでも暖かく、現実のつらい部分の描写は最低限に抑えられています。 三鉄といえばあまちゃんというイメージも強いのですが、NHKとのコンタクトの裏話も面白おかしく紹介されていて、あまちゃんを観たことがない私も思わず笑ってしまいました。

 この物語は、絶望的な状況でも強い意志と希望、そして実行の戦略を持てば克服が可能であるというお手本のような内容です。 お互いを思いやる協力精神をもつことが、我々人類が今まで生き延びてきた戦略であったと再認識させられます。 そして、それがあれば、近い将来、自分がヒサイシャの立場となっても何とかなる・・・という希望を持つことができる、そんな内容です。 一読をお勧めします。