このブログを検索

2021年12月4日土曜日

井津建郎写真展のはしご

 快晴の土曜日、井津建郎氏の写真作家活動50年を期した写真展をはしごしました。

まず、東麻布のPGIで新作展「もののあはれ」。

8×10でとらえた能面のポートレートが中心で、作者は老境にいたって能の美を改めて発見したそうです。お面は見る角度や光の角度によって表現する感情が変化しますが、それを二次元のプリントに固定し、自分の表現としています。

8×10でアップにした能面はほとんど等倍の接写なので、その描写力も圧倒的です。


PGIのビルを出ると、東京タワーが間近に迫ってきます。
神谷町駅まですこし歩き、地下鉄小伝馬町駅のルーニィ247へ。
こちらはデビュー当時からの、主にプラチナを集めた「地図のない旅:1979~1992年」展。

DMにもなっているストーンヘンジと月がみごとです。間近に見ると、露光時間が長いので月が動いていて、時の流れも感じる仕掛け?になっていました。




ルーニィを出てぶらぶら馬喰横山駅まであるいていると、クラシックなビルが目につきました。なかなか良い雰囲気です。

2021年11月27日土曜日

フォトグラフィック アート アジア展

 先日の春日広隆個展CUBAと同じ会場で、恒例のフォトグラフィック・アート・アジア展を拝見しました。ゆったりした会場で、メンバー10名の個性的な展示が楽しめます。今年は例年より白黒の作品が多いように感じました。

写真の題材、メディアなど各メンバーのこだわりが感じられるものばかりです。そのバリエーションもさることながら、それぞれが自分の表現を追及し、内容や技術を実験していくという態度は見習うべきだと感じました。




2021年11月3日水曜日

写真展スタート

 ありがたいことにコロナの感染も急激に減少する中での開催となりました。

11月3日夕刻には展示が終わり、いよいよ明日からスタートとなります。パーティなどはできませんが、研究会のメインエベントなので、皆さん力が入っています。







2021年10月15日金曜日

春日広隆写真展 CUBA

 10月も半ばとなり、コロナも落ち着いてきた金曜の午後、表参道の GALLERY 5610に春日広隆氏の写真展を訪ねました。

キューバの街や人々を明るい色調で捉えた、今までとは少しイメージの変わった作品を楽しみました。

お話を聞くと、自分の記憶にある色を追及し、まさにそれが創作だと楽しんでおられるご様子でした。

なかでも、家々の壁の鮮やかなデザインを切り取った小品に、その魅力が凝縮しているようでした。

11月末には同じ会場でグループ展を開催されるとか。そのエネルギーにも感服します。

2021年9月28日火曜日

甲斐義明著 「ありのままのイメージ」

 「スナップ美学と日本写真史」というサブタイトルの分厚い本を一気に読みました。とてもスリリングで示唆に富んだ写真論です。いままで漠然と「スナップショット」というくくりで捉えていた写真たちも、それを成り立たせた社会の状況や価値観・ハードウエアの進化・そして何より撮影する側とされる側との関係など、多面的な分析がされています。

たとえば第4から5章では戦中戦後のプロやアマチュアの状況が考察されています。

何十年もの時を隔てて振り返ると「絶対非演出」という価値観が尊重されてきたのが不思議にも思えます。国策プロパガンダに協力したことへの反省から、土門たちが主唱した態度だということです。報道写真が「ヤラセ」を避けることは(表向きは)当然としても、アマチュアまでにも深く影響したことは興味深いことです。当時の「生活綴り方」との共通性を指摘する指摘も新鮮でした。そうだとすればこの価値観や美学は日本特有の現象なのでしょうか? 大多数のアマチュア写真家にとって都会(の貧しい部分)を撮ることが、大自然などより手近で簡単・キャンディッド写真のスリルを楽しめたという指摘も新鮮です。

本書のキーワードの一つでもある「窃視」が「盗撮」と言葉を変えてより日常化しているのは、その伝統なのでしょうか?

レッスンプロが、主としてカメラ雑誌を舞台にアマチュアを指導するという構図は、お茶や生け花などとそれほど変わらない趣味の世界の出来事だったのでしょう。

同時代のスターでもあった名取や木村が、戦争協力の経歴を棚に上げて平和を説いたり、カルティエ=ブレッソンと同列に扱われるようにしたことなど、思わず笑えるような指摘もあります。

本書の守備範囲は膨大で、とても全部は紹介しきれませんが、刊行時期がアサヒカメラや日本カメラという老舗写真雑誌の退場と同時期だったのは偶然とは思えません。

2021年9月15日水曜日

Exposure Value

 研究会では新たなゾーンシステム解説のパンフレットを編集していますが、その過程で気になることがありました。

そのひとつに「EV(Exposure Value)」について、単体露出計を使いマニュアル露出を行う研究会のなかでも認識に違いがあることに気づきました。

なかでも「EVはISO感度100で撮影するときの絞りとシャッターを表す数値」だという考えがありました。EVは絞りとシャッターの組み合わせを表すことに間違いはないのですが、ISO100に限定しているわけではありません。なぜこのようになったのでしょうか?

ひとつの推測として、ゾーンシステムで必須アイテムであるスポット露出計が考えられます。現在市販されているデジタルのスポット露出計は、ファインダーを覗いてスイッチを押せば、EVが表示されます。フィルムの感度は予め露出計にセットしておくので、被写体の明るさは同じでも、感度が変われば当然EVも変わります。

一方、むかしのペンタックス・スポットメーターでは同様にファインダーで数字を読み取りますが、その値はフィルムの感度を切り替えても一定のままです。読み取った数値を本体の計算ダイヤルに移し、そこでフィルムの感度を加味して絞りとシャッターを読み取ることになっています。

フィルムの感度設定によってファインダーの表示が変化するようなカラクリは、当時の技術ではむずかしかったのでしょう。

そのため、ペンタックスのファインダーで読み取った数値を「EV」と混同することがおきてしまったようです。(あくまで推測ですが)

改めてネットで検索してみると、ずいぶんいい加減な解説が目につきます。なかには「EV=TV+AV-ISO値」などという珍説もありました。

デジタルカメラは自動露出が当然なのでEVの知識がなくても支障はないでしょう。しかし銀塩写真の普及を願う身としては、正しい認識を広めたいと思うようになりました。

2021年3月30日火曜日

小穴式ルーペ

 新聞小説を読む習慣はあまりないのですが、3月28日の朝日新聞に載っていた池澤夏樹の「また会う日まで」をみていて「東京帝大の小穴純君」という記述が目に入りました。

東京大学の駒場博物館で「小穴純とレンズの世界」という展示を見たのがもう10年以上むかしの2009年でした。年譜によると、帝大の講師であった昭和9年、26歳の時に「南洋ローソップ島において日食観察」とあるので、小説に描かれているのはこのときのことなのでしょう。戦前の、しかも南の島のことで、観測の準備も大変だったと想像されます。

で、白黒写真をプリントをする人が必ずと言ってよいほどお世話になるのが「小穴式ピントルーペ」。これ以上のものはもう作られることはないでしょう。調べてみるとすでに製造は打ち切られているようで、残念です。


2021年3月27日土曜日

Super Resolution

 Photoshopの新しい機能に Super Resolution なるものが出てきました。Camera Rawで編集するときに「強化」※を選択すると解像度が2倍になるという謳い文句です。つまりデジタルカメラの画素数が4倍になる魔法のような機能です。ちなみに一度強化した画像をさらに強化することはできません。

ビネガーシンドロームで寿命がきたネガをデジタル化していますが、ひどく変形してしまうとスキャナーのネガキャリヤに入らなくなります。そこでガラス製のネガキャリヤに挟み、ライトボックス上でデジタル一眼で複写してみました。2600万画素フルサイズ機に50mmマクロレンズをつけて撮影し、Super Resolution を適用すると一億画素を超えます。 


これを2400dpiのフィルムスキャナーと比較してみると、まあまあの勝負です。(例はビネガーではない、新しいネガ。左側がカメラ撮影、中央は左のデータにSuper Resolutionを適用したもの、右側がフィルムスキャナー使用)
下の写真はネガの全体です。

ブローニー以下のフィルムのデジタル化には十分使えそうです。

※ Intensifyを「強化」と訳したのでしょうが、個人的にはもう一工夫ほしかったという気もします。ファイル名にも自動的に「***強化」 とつきます。

イメージ・インテンシファイアは(光電子)増倍デバイスと訳されていたので、「強化」よりは「増倍」や「倍増」のほうがぴったりきます。文字通り解像度を「倍増」しているのですから。

2021年3月25日木曜日

コロナの花見 その2

 だんだん暖かくなり、都内の桜も満開になってきたようです。それにつれてリバウンドが気になります。

週末はあまり天気もよくないようなので、はたしてどうなりますか…

2021年3月17日水曜日

コロナの花見

 東京都でも桜が開花し春になってきました。近所の公園を歩くとちらほらと咲いています。

コロナが収まってくれるとよいのですが、下げ止まりどころか増加に転じてきたようです。都立の公園では花見の宴会をさせないように、柵で囲っています。

「長屋の花見」のように、お茶けやたくあんで酔ったマネをするのもダメでしょうか?

酒柱がたつとよいのですが...



2021年2月16日火曜日

写真販売展 その2

 さる「写真販売展」で、「同じイメージを違うサイズでプリントし販売することはルール違反だ」と聞いたことがどうしても気になり、少しリサーチしてみました。

その結果はつぎのようで、エディションを変えて大きさの違うプリントを販売することは別に問題なさそうです。

その1: 研究会の写真展にも時々来ていただいている写真代理店のはなし

「ルール違反だという話は聞いたことはない。ワンサイズでやっている写真家も、ツーサイズ、スリーサイズでやっている写真家もいる。」

その2: アメリカのファインアートギャラリーの見解

「最近、多くのギャラリーは美術館に購入してもらうことをねらって大きなプリントサイズを望んでいます。この場合は同じサイズが望まれています。しかし、普通のコレクターには大きすぎる場合が多いので、別のエディションで小さなプリントをつくることができます。」

写真を作品として売買することが、もっと普通になるとよいですね。

2021年2月7日日曜日

写真販売展

 季節外れの暖かい日曜日、ギャラリーで「写真販売展」と銘打った写真展を観ました。

ギャラリーの壁一面に展示することが普通ですが、額装した展示は数点のみで、作者にお話を聞くと、ポートフォリオのボックスから一枚ずつ取り出して丁寧に説明していただきました。

ゼラチンシルバープリントをフランスでも販売した実績があるということで、写真作品を買って、身近に飾ってもらうことをめざしているそうです。おおいに共感できるおはなしでした。

そのなかで興味深かったのは、海外では?サイズ違いのプリントを値段を変えて売ることはご法度だというおはなしです。自分の数少ないコレクション経験では、アメリカのギャラリーで同じイメージのサイズ違い、値段違いのプリントを見たような記憶があります。最近のトレンドなのでしょうか?

2020年12月16日水曜日

石元泰博「伝統と近代」、井津建郎「Eternal Light」

 東京も冷えてきた一日でしたが二つの写真展を廻りました。どちらもゼラチンシルバープリントの表現を極限まで突き詰めたプロフェッショナルの作品です。

石元泰博「伝統と近代」 (東京オペラシティアートギャラリー)

都写美と並んだ生誕百年記念展もいよいよ終盤。作家の造形力に圧倒される展示です。桂や伊勢神宮といった大作より、初期の金網などをモチーフにした多重露光作品などにすごさを感じました。
最後の年譜には師であるハリー・キャラハンを囲んだ、石元やメツカーたちの写真があり、ニュー・バウハウスに集まった作家たちの共通の美学を改めて感じた次第。

新宿から御茶ノ水へ。学生時代から通いなれた聖橋口がすっかり変わっていてまごつきました。
で、ギャラリー・バウハウスの井津建郎「Eternal Light」展へ。

インドで撮影した生と死のポートレートともいうべき写真群です。幸運にも作家が在廊しておられ、いろいろとお話を聞くことが出来ました。
これほど深い黒の表現がどうすれば可能なのか、いささかぶしつけな質問をしたところ、フィルムや印画紙は市販のものだが、特殊な印画紙現像液を使っておられるとのこと。ネガを見てからプリントを仕上げるまで、せいぜい1~2枚焼けば自分のイメージになるという、神業のようなことをさらりとおっしゃる。「経験を繰り返せば、あるとき自転車に乗れるようになるのと同じくらい簡単にできるようになる。」とも。うーむ。



2020年11月18日水曜日

千代田路子写真展 「私は彼女と長い夢をみる」

 六本木アマンドの角を曲がり、芋洗坂を下ったところにあるストライプハウスギャラリーを初めて訪ねました。千代田路子さんの写真展を拝見するのは昨年に続いて二度目ですが、今回は広島にあるという修道院を舞台にした作品群です。(11月20日まで)


 

写真はすべてスクエア、展示も左右対称を意識しているようで、深い祈りと敬意が伝わってきます。
修道院の写真というと奈良原一高の「王国」を連想してしまうのですが、ここでは黙想する人の視点が中心となっているようです。
お経のように折りたためる写真集も、内容にマッチしています。
ギャラリーの外観もおしゃれです。

西麻布のギャラリーE&Mまでは歩いて20分ほど。午後の当番に間に合いました。

2020年11月12日木曜日

石元泰博 ヴィヴィアン・マイヤー

写真展の会場であるギャラリーE&M西麻布から徒歩圏?にある二つの写真展にいきました。

東京都写真美術館では、入り口で体温チェックを受けて入場。石元泰博の写真は何回観ても新たな発見があります。例えば「シカゴ こども」と題されたシリーズのNo.6は、着飾って星条旗を持つ黒人少女、それをちらっと見おろす白人女性の視線、そして石元の視線は交わらない。1960年という時代は今以上にこの視線は離れていたと思われるのですが、本質は今も変わっていないようです。それにしても作者の瞬間的な造形力は圧倒的です。

さて、6時で我々の写真展がクローズしてから、骨董通りを少し歩いてヴィヴィアン・マイヤー日本初個展と銘打たれた「Self portraits」(11月28日まで)へ。会場はAkio Nagasawa Gallery Aoyamaで初めて行く場所です。写真展の看板も出ていないので、まさに知る人ぞ知るところ。

ヴィヴィアン・マイヤーは数年前に突然有名になった伝説の写真家ですが、そのプリントを観るのは初めてです。作者自身も(おそらく)プリントをしていないにもかかわらず、どうしてこれだけの作品を生み出すことが出来たのか驚異的です。

石元とマイヤーはほぼ同じ時代にアメリカの市井を撮影していますが、もちろんお互いを知っていたはずはありません。そこにはどこか共通した視点が感じられるようです。


2020年11月10日火曜日

写真展スタート

11月10日からいよいよ写真展が始まりました。今年は残念ながらオープニングパーティも、そしてギャラリートークもできない事態となってしまいました。

快晴で急に寒くなりましたが、多くのかたにご来場いただきました。






2020年11月9日月曜日

写真展搬入

11月8日、研究会のメインイベント・写真展の準備を行いました。

レーザー水準器を使うと、額の展示も効率的です。
感染が懸念される季節となったので、使い捨て鉛筆などで対策しました。

展示作業も2時間ほどで終了しました。
いよいよ10日火曜日からオープンです。


2020年10月26日月曜日

写真展巡り

秋晴れのさわやかな土曜日、都内のギャラリーを巡りました。

まず、PGIの圓井義典展「天象(アパリシオン)」。日常のなにげない風景と、意味ありげな花のアップが並んでいます。ギャラリーの解説には「事物と作者の関わりの結果としての画像の羅列、一般的な意味に交換できないスナップショットの連なりに、見ている私たちは知らず識らずそこから一つの意味を見出そうとするはずです。」とあります。写真一点ずつではなく、そのつながりを読み取ることが求められているようです。かなり難しい・・・

麻布十番駅から四ツ谷に出てポートレートギャラリーの「トリプレットの会」展。三枚組のクラシックなレンズで三人の作家が撮影したゼラチンシルバープリントが並んでいます。都会の中で、木漏れ日をとらえたショットなどは美しいものでした。
骨董通りのギャラリーストークスでは服部一人「Days in Africa」。現地で何年も暮らして撮影したという力作。アグファの印画紙がなくなると知って買い占め、冷凍保存しておくほどのこだわりを持つ作家です。
天気が良いので六本木通りから渋谷を通り越し、池尻大橋のモノクロームギャラリーレインまで歩きました。泉大悟 「Gelatin Silver Print」 展。おもにヨーロッパの街角でとらえた光が主役です。静謐なイメージはハマースホイを思わせるものもあり、楽しめました。
ギャラリーで道順を教えてもらい、さらに下北沢までも歩いてみました。表参道から通算すると60分以上は歩いたことになります。一日中マスクを着けていても、さわやかな気候のおかげで気持ちよく歩くことが出来ました。




 


2020年10月18日日曜日

浪漫の系譜 梅野亮展

 写真展用のプリント作業で暗室に入っていると、旧会員のYさんから展覧会の図録が届きました。梅野亮という未知の画家の展覧会で、東御市(とうみし)梅野記念絵画館という、長野県の上田に近い美術館で来年1月まで開催中とのことです。

添えられたお手紙によると、この画家はYさんの高校時代の親友で、「人生で唯一天才だと思った」人だそうです。図録に見る肖像画の多くは青い目を大きく見開き、どこか遠くを凝視しているようです。
Yさんは写真のみならず美術史にも造詣が深く、しゃべりだすと機関銃のように豊富な知識がほとばしる人です。そのYさんをして天才と言わしめた画家の作品は素晴らしいものでしょう。
展覧会には関連の作家も展示されており、美術には疎い私でも聞き覚えのある有本利夫や小杉小二郎といった名前が見えます。そしてYさんの写真も!

信州の秋はこれからが見ごろでしょうか。

2020年10月14日水曜日

Gallery Y

ゾーンシステム研究会のメンバーが時々グループ展を開かせていただく、つくばの Gallery Y を訪問しました。現在は”-shirt”という個展を開催中です。

ビルの2階で、予め展示内容を知っている人が訪れるようです。

衣服についてはあまり(というか全く)知識もないのでうまく表現できませんが、既存の常識にとらわれないというモノづくり(縫製もすべて自分で行っているそうです)にははっきりとした自己主張があります。https://designlablights.com/

現在は世界的なブランドになっているデザイナーもこんなところから出発したのかな、などと想像してしまいます。実用品の枠を超えた立体作品として鑑賞しました。


ギャラリー入口。

ディスプレイ用の枠も自作だそうです。

素材や工法を組み合わせることで、既存のシャツというイメージを超えた何か、になっています。