研究会30周年記念の写真展が8月22日から富士フイルムフォトサロン(六本木)で開催されるのに合わせて、プロモーションビデオを作ってみました。
初めての試みで1分半の簡単なものですが、効果のほどはどうでしょうか?
ちなみにBGMはDova-Syndromeのフリー素材から 蒲鉾さちこさんの「波打つ鼓動」をつかわせてもらいました。落ち着いたピアノの響きが写真にマッチしています。
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研究会30周年記念の写真展が8月22日から富士フイルムフォトサロン(六本木)で開催されるのに合わせて、プロモーションビデオを作ってみました。
ちなみにBGMはDova-Syndromeのフリー素材から 蒲鉾さちこさんの「波打つ鼓動」をつかわせてもらいました。落ち着いたピアノの響きが写真にマッチしています。
ニエプスの時代から生成AIまで、語られる範囲が極めて広いのですが、その広範な話題は生成AIによる画像生成を論ずるための下地なのでしょう。以前読んだ甲斐義明著 「ありのままのイメージ」と並んで、写真について新たな視点を与えてくれる刺激的な本です。
「写真は死んだのか?」というタイトルは、19世紀に初めて写真を目にした画家が「今日から絵画は死んだ!」と言った故事からとられたのでしょうが、そのご200年近くたっても絵画は死んでいないのと同様、写真は死なないというのがこの本の結論です。その結論にたどり着くまでの論考がたいへん興味深いのです。
生成AIは画像をコラージュして出力するだけであり、写真を撮ることを楽しむのは人間にしかできないという、いわばまっとうな指摘もうなづけます。
また、著者の一人である大山顕氏についても認識を新たにしました。いままでは「工場萌え」や「ジャンクション」のような写真集の作者という程度でしか知りませんでしたが、飯沢氏と互角に写真を論じる論客だとは、失礼ながら初めて知りました。
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ところで、本書を読みながら「なぜカメラオブスキュラの画像が魅力的なのか?」という積年の疑問が頭をもたげてきました。大判カメラのピントグラスを眺めているだけでも飽きないのはよく経験するところです。写真の発明はカメラオブスキュラの画像を定着したい、という欲求から行われたのですが、現実世界と変わらない(むしろ薄暗く、三次元が二次元に圧縮されている)画像に惹きこまれるのが不思議です。素人考えですが、私たちの脳が画像処理するとき、現実世界より二次元画像の方が楽だからなのでしょうか?
グリーンフィルターがあればよいのですが、手持ちのレンズに合うものがないので、とりあえずそのままで撮影。古いTMAX400の実効感度EIを100としたので、昼下がりの条件でもシャッターは2秒ほどになります。
ゼラチンシルバープリントで表現できる光の表現を極限まで追求した作品ばかりです。乾いた泥や氷が見せる抽象的なイメージや、雪に閉ざされた景色などが、撮影とプリントに費やしたエネルギーを感じさせます。
前回お邪魔したのは3年前の個展で、このときはピンホールの表現でしたが、今回はいつもの(?)シャープな作品です。
3月も下旬近く、東京は朝から雪が降り、雷もなるという天気になりました。それでもいくつかの写真展を拝見してきました。いずれも白黒プリントばかりです。
古谷津純一写真展 東へ西へ (ギャラリーE&M西麻布)
このところハイペースで個展を開いている古谷津さんの展示です。前回からほぼ1年たちました。6×6のスクエアフォーマットで統一した写真が並んでいます。それに倣って会場風景もスクエアにしました。
ステートメントは「(光景から)放たれた光の粒子は、秒速約30万kmの速度でフィルムに塗布されたハロゲン化銀に衝突し、潜像を形成する・・・そして自身の脳神経細胞に感動として記憶される・・・」と、きわめて学術的な表現になっています。なによりも、感動をもたらす光景を発見する能力こそが大切だと実感させられます。印画紙という紙に、漆黒の闇と光を記録する醍醐味が味わえる展示です。
服部一人写真展 パノラマ・東京・ミレニアム (ギャラリーストークス)
1999年から2000年にかけて、東京都内を6×12というフォーマットで撮り歩いた記録だそうです。何と手持ち撮影。四半世紀という時間を隔てて見ると、まだ昭和の雰囲気がのこっていて懐かしくなります。← 作者とギャラリーオーナーの2ショット。作品に合わせてパノラマにしました。
吉良俊一写真展 もうひとつの影 (富士フイルムフォトサロン 東京)
デジタルカメラで撮影し、「銀プリント」に仕上げた作品だそうです。ビルの窓などに映った影を、抽象的なフォルムとしてとらえた作品が魅力的です。タイトルパネルはアクリル板に印刷したものを壁から5cmほど浮かして掲示し、その「影」を見せるという凝った仕掛けでした。
研究会のテーマ「都市」を撮っています。
人通りの多い所なので、よく声を掛けられます。研究会を紹介する名刺サイズのパンフレットを渡していますが、今日はフィルムカメラ(35mm)で日本を撮り続けているというカメラマン氏と、ネパールから来たという日本語の上手な方とお話が出来ました。
20℃を越える暖かな陽気となった3月2日、CP+の最終日に足を運びました。
さぞかし混雑していると思いきや、それほどのこともなく、かえって寂しさを覚える程です。みなとみらい駅からパシフィコ横浜まで、かつては切れ目なくバナーが並んでいたのですが、久しぶりに?きてみると、会場付近にちらほら出ている程度でした。それもキヤノンのプライベートショーかと勘違いするようなものしかありません。
銀塩写真関係の展示は無いものと思っていたのですが、富士フイルムには「ハイブリッドインスタントカメラ」と銘打ったインスタックス・ワイド・EVOなるカメラが出展されています。「デジタルポラロイド」という方がぴったりくるかもしれません(もちろん言いませんが・・・) シャッターを押してから数秒で写真が取り出せ、数十秒経つと画像が現れます。画面サイズは約6×10センチ(右の写真)20年以上昔にも同社で同じコンセプトの製品があったと記憶しますが、カメラから写真が顔を出すまでが延々と長く、たとえば数人で記念撮影して皆に配る、などという事は出来そうにない代物でした。技術は進歩するものです。
他にも台湾製フィルムスキャナーの新製品があるなど、銀塩関係もまだすこしは生きているようでした。
この数日、半世紀前のフィルムから作った写真展を観る機会が続きましたが、今日はJR三鷹駅近くの「ぎゃらりー由芽のつづき」で川村賢一写真展 Once Upon a Time in America を拝見しました。
お話によると1980年の一か月間、アメリカ東部をグレイハウンドバスで撮り歩いたということです。建築士である作者の視点は構成的でスキがなく、見事です。また街角のスナップショットの一瞬の切り取りが、いかにもこの時代を感じさせるものになっていました。膨大なフィルムをスキャンして過去の作品をよみがえらせ、こうして展示することも重要になってくると感じた次第です。
JCII地下のクラブ25で開催中の写真展にお邪魔しました。出展者のおひとり・伊藤さんが、以前研究会の写真展に来場いただいたご縁です。
他の方はデジタルカメラで撮影しているなか、おひとりだけ銀塩フィルムで撮影し、それをスキャンしてプリントしているそうです。
「街の記憶」をテーマに、表通りからは見えない、ひっそりと佇む風景をとらえています。令和になってから撮られた写真も、懐かしく感じるのがフィルムならではなのでしょう。
片隅には50年前のネガからプリントした作品も少し展示されていましたが、かなりビネガーシンドロームに侵されてしまっているそうです。半蔵門を辞してから表参道のギャラリーストークスで鈴木孝史先生の展示に伺いました。鈴木先生も半世紀前のネガからプリントしておられましたが、コダックのフィルムは殆どビネガーシンドロームを発症しないとか。
今更わかっても、あとの祭りです・・・
JCIIクラブ25で開催の第20回「建て物写真展」に、閉館間際にお邪魔しました。
国宝や現代の作品など国内外のさまざまな建築物を、どれもストレートにとらえた作品です。建築をテーマに20年も続いているという、グループの息の長さも驚きです。建物を記録する面白さは、形への興味にとどまらず、時間の経過にも目が向けられることでしょうか。ギャラリーストークスで開催中の写真展にお邪魔すると、そこは路面電車の線路になっていました!
さすが日芸写真学科卒業生の鉄道愛好会写真展だけあって、写真だけでなく展示も凝っています。お話をしていると、髭おやじ先生も私も、玉電最後の日に写真を撮りに出かけていました。子供のころからニアミスしていたのかもしれません。
11月23日、池尻大橋のモノクロームギャラリーレインで開催中の写真展にお邪魔しました。
泉大悟氏の展示を拝見するのは2回目です。(前回は2020年でした) 今回はガラスの器など、室内と思われる情景も多くなっています。いわゆる「静物写真」が多いので、スタジオで撮ったものかとお聞きしたら、自分で被写体を構成したのではなく「見つけたもの」だ、というご返事でした。
改めて拝見すると、モノから「撮ってください」と呼びかけられているようにも思えます。モノの気配を感じるのでしょうか。その感性による静謐な表現が魅力です。
前回はハマースホイを連想しましたが、モランディにも通じるものを感じました。
帰り道、駒場東大前駅まで歩くと「駒場祭」にあわせて急行も臨時停車するなどごった返しています。お気に入りのパン屋さんに寄ろうかとも考えていましたが、ついさきごろ「アド街ック天国」で紹介されたこともあり、諦めました。
東京のアトリエ シャテーニュ( http://atelier-chataigne.org/ )で開催された、ゼラチンシルバー乾板ワークショップに参加しました。
乾板作成の座学、ガラスの下処理、乳剤作成(デモ)、乳剤塗布・乾燥、撮影(4x5)、現像といった一通りの工程を学ぶ濃厚なワークショップでした。
他の方は貸し出しのホルダーを使いましたが、私は3Dプリンタを持っているのでインターネットに公開されている湿板用ホルダーの3Dモデル(一部私が設計した追加部品あり)を印刷・組み立てして撮影に望みました。3Dプリンタ製のホルダーがきちんと機能することを確認できました。3Dプリンタ製のホルダーの情報の情報は以下のweb(英語)を参照してください。
https://www.thingiverse.com/thing:6845540
★ワークショップの内容については12/2以降に追記します★
かなり傾向の異なる二つの写真展を観てきました。
SAMURAI FOTO 写真展 Transcendence / 超越
六本木ストライプスペースの展示は、デボラ・クロチコさんのキュレーションによるものだそうです。サンディエゴ写真美術館館長(当時)の同氏が2012年に来日してレクチャーをした折、中島代表が研究会の「ポートフォリオ1」を寄贈したというご縁もあるので興味を惹かれました。(詳細は会報53号の記事)
グループ展というよりは15名の個展の集合体というべきでしょう。それぞれの作品には詳細なステートメントが書かれたパンフレットが置かれ、作者の狙い、思いなどがつづられています。作品の表現や形態も多種多様です。
以前からたびたび拝見してきた千代田路子さんの作品は、被写体から受けた印象を再構成したというより、ご自分の思いを被写体に託して編集したというべきかもしれません。(今回はお会いできず残念でした)
会場で詳しく説明していただいた村田光司氏の作品は、仏教の世界観を日本画のように表現したものでした。海外での販売、収蔵してもらえる作品創りを目指す志の高さと真剣さを感じる展示です。
これとは対照的に思える展示が ヒカリエで開催の Shibuya Photo Archive
1947生まれの作者が遺した数千本という膨大なネガから選ばれた、1960年代から80年代の渋谷の街頭風景が展示されています。団塊世代には懐かしい渋谷の風景を、若い人たちも興味深そうに眺めています。大学のカメラクラブ員だったという作者がどのような狙いで撮影したのかは説明もありませんが(没後にネガが見つかったのだそうです)、撮影者の意図とは関係なく多くの人に伝わる写真もあるものだと改めて感じました。そして、その記録を発掘して後世に残す努力も貴重です。これだけ膨大な写真があれば、半世紀前の風景をバーチャルに再構成して体験できないものか、そんなこともぼんやり考えながら眺めていました。
日本カメラ博物館で開催中の展示を観てきました。
立体写真は写真の誕生と同時といってよいほど古くから試みられてきたようです。現代でも何年かおきにブームとなりますが、いつの間にかフェードアウトするのが運命かもしれません。
で、私が興味を持ったのはパノラマ写真の最初期に現れた「サットン パノラミックカメラ」です。まだロールフィルムのない時代、湾曲させた感光材(湿板だそうです)を使う斬新な構造でしたが、その材料が謎でした。撮影時には湾曲させた感光材料も、プリントする時には平面にする必要がありそうです。東京都写真美術館の文献によればマイカ(雲母)を使ったという推測があるのですが、詳しくはわかっていないようです。博物館にはカメラの実物が展示してあり、意外と小さいのにすこし驚きました。しかし感光材料の説明はないので、その点がすこし物足りなく感じた次第です。
いずれ私達もまた、感光材料を自作する必要に迫られるかもしれませんね・・・
研究会の写真展も会期半ばとなりますが、季節柄あちらこちらで展覧会が開かれています。
秋の国展
まず上野の東京都美術館で11月8日まで開催の国展。いつもながら膨大な量とバリエーションです。それぞれの作者が作品に込めた思いに想像をめぐらすのも楽しみです。
ゾーンシステム研究会のメインイベントである写真展の展示作業を11月4日に行いました。
三連休最終日の午後、ギャラリーE&Mに集まった有志が協力して作業を行います。まずは中島代表のプランに従ってフレームを並べて検討。強烈なパースと、闇から浮かぶ光がまぶしく感じられます。紙の白さが強烈な光に思えることが、白黒写真のだいご味でしょうか。