猛暑が1週間も続き、外出にも命の危険が感じられる今日この頃ですが、中野のギャラリー冬青に岡崎正人写真展を観に行きました。(7月1日~30日まで)
作品はすべて横長のパノラマで統一され、不思議な光と陰に満ちています。どこか夢の中のようで、直線は湾曲し太陽も黒くぼんやりと輝いています。
撮影の種明かしを伺うと、使用したフィルムは歯科用パノラマレントゲンフィルムで、40年も前のものだそうです。とっくに期限は切れており、現像するとカブリがはげしく、ネガを見てもほとんどなにが写っているのかわからない。それを逆手にとって不思議な世界を表現するために、試行錯誤の連続にまる2年を費やしたと聞いて驚きました。
太陽が黒く写る「ソラリゼーション」はアダムスの作例にも登場しますが、望み通りの効果を出すための露出時間を求めたり、周囲が露出オーバーにならないよう撮影中に「覆い焼き」をするなど、完成した作品を見るだけではとうてい想像の出来ない努力があったそうです。
カメラは金属製ペンキ缶による手製で、広角撮影につかえるピンホール素材も各種探したとか。両面に乳剤が塗布されたレントゲンフィルムをムラなく現像するために、トレーに細工を施したそうです。どこか朦朧とした世界を仕上げるためにはメラから暗室処理まで独創やノウハウの積み重ねであることに作者の勢いを感じます。
来週は猛暑も少し治まりそうで、そうなれば暗室作業を再開できそうです。
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