かなり傾向の異なる二つの写真展を観てきました。
SAMURAI FOTO 写真展 Transcendence / 超越
六本木ストライプスペースの展示は、デボラ・クロチコさんのキュレーションによるものだそうです。サンディエゴ写真美術館館長(当時)の同氏が2012年に来日してレクチャーをした折、中島代表が研究会の「ポートフォリオ1」を寄贈したというご縁もあるので興味を惹かれました。(詳細は会報53号の記事)
グループ展というよりは15名の個展の集合体というべきでしょう。それぞれの作品には詳細なステートメントが書かれたパンフレットが置かれ、作者の狙い、思いなどがつづられています。作品の表現や形態も多種多様です。
以前からたびたび拝見してきた千代田路子さんの作品は、被写体から受けた印象を再構成したというより、ご自分の思いを被写体に託して編集したというべきかもしれません。(今回はお会いできず残念でした)
会場で詳しく説明していただいた村田光司氏の作品は、仏教の世界観を日本画のように表現したものでした。海外での販売、収蔵してもらえる作品創りを目指す志の高さと真剣さを感じる展示です。
これとは対照的に思える展示が ヒカリエで開催の Shibuya Photo Archive
1947生まれの作者が遺した数千本という膨大なネガから選ばれた、1960年代から80年代の渋谷の街頭風景が展示されています。団塊世代には懐かしい渋谷の風景を、若い人たちも興味深そうに眺めています。大学のカメラクラブ員だったという作者がどのような狙いで撮影したのかは説明もありませんが(没後にネガが見つかったのだそうです)、撮影者の意図とは関係なく多くの人に伝わる写真もあるものだと改めて感じました。そして、その記録を発掘して後世に残す努力も貴重です。これだけ膨大な写真があれば、半世紀前の風景をバーチャルに再構成して体験できないものか、そんなこともぼんやり考えながら眺めていました。
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