東京も冷えてきた一日でしたが二つの写真展を廻りました。どちらもゼラチンシルバープリントの表現を極限まで突き詰めたプロフェッショナルの作品です。
石元泰博「伝統と近代」 (東京オペラシティアートギャラリー)
都写美と並んだ生誕百年記念展もいよいよ終盤。作家の造形力に圧倒される展示です。桂や伊勢神宮といった大作より、初期の金網などをモチーフにした多重露光作品などにすごさを感じました。最後の年譜には師であるハリー・キャラハンを囲んだ、石元やメツカーたちの写真があり、ニュー・バウハウスに集まった作家たちの共通の美学を改めて感じた次第。
新宿から御茶ノ水へ。学生時代から通いなれた聖橋口がすっかり変わっていてまごつきました。
で、ギャラリー・バウハウスの井津建郎「Eternal Light」展へ。
インドで撮影した生と死のポートレートともいうべき写真群です。幸運にも作家が在廊しておられ、いろいろとお話を聞くことが出来ました。
これほど深い黒の表現がどうすれば可能なのか、いささかぶしつけな質問をしたところ、フィルムや印画紙は市販のものだが、特殊な印画紙現像液を使っておられるとのこと。ネガを見てからプリントを仕上げるまで、せいぜい1~2枚焼けば自分のイメージになるという、神業のようなことをさらりとおっしゃる。「経験を繰り返せば、あるとき自転車に乗れるようになるのと同じくらい簡単にできるようになる。」とも。うーむ。
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