ゾーンシステム研究会の会員でもある鈴木知之氏の個展 MonoriuMがギャラリーE&M西麻布で始まりました。(7月30日まで)
MonoriuMというのは、モノクロームの植物標本(Herbarium)という意味を込めた造語だそうです。
すべて縦位置に統一された、黒バックから浮き出るような植物たちの肖像が並んでいます。作者によれば、ハイコントラストとテクスチャを両立させるために粗粒子の表現を工夫したとか。
粒子の荒れ方は気に入った形になるよう、現像方法の試行錯誤を重ねた苦心の表現です。半世紀前に流行した「アレ・ブレ」などとは全く異なる表現を追求したという研究熱心に頭が下がります。
植物は、実際に生えている場所で黒バックを使い、光線状態を勘案しながら撮影したそうです。ブロスフェルトのように形の面白さを前面に出すだけでなく、生えている環境をも考慮した画面の構成になっているようでした。
粗粒子での表現は森山大道などこれまでも多くの写真家が挑戦していますが、植物と粗粒子の組み合わせは初めてみました。
返信削除森山大道の写真は心がざわつくのですが、鈴木知之さんの写真は不思議に心が落ち着きます。
作者はたまたま、植物と粗粒子現像の組み合わせの魅力について気がついたようで、この写真展に合わせて出版された写真集(展示されていない作品も含め100ページ近い力作です)のあとがきに以下のように書かれています。たしかに点描画見たときの感覚に近いかもしれません。
---
「粒子が荒く、細かく表現されていないはずなのに
なぜかディテールを強く感じる」
後になって、この手法が人が描いた点描画の表現に
近い事を知り、すべて合点がいった。
---
粗粒子の魅力はWeb画像ではわかりにくいため、ぜひプリントを見ていただくことをお勧めします。
鈴木知之さんは、今後2-3年に1回は作品展を開催したいとのこと、精力的な創作意欲に頭が下がります。
2023.7.19(水)-30(日)
12:00-18:00 月・火休
Gallery E & M nishiazabu
地図は以下
http://www.takeuchi-studio.jp/gallery_em/map.html
■渋谷から
渋谷駅東口バスターミナル
都バス「都01」2停留所目
南青山七丁目下車
※本数多く出でいます。ほぼ平坦な道です。
■広尾から
地下鉄日比谷線広尾駅下車
西麻布4番出口より徒歩8分
※広尾ガーデンヒルズの立派な欅並木を通っていきます。ちょっと坂道です。