寒い雨の降る週末に二つの写真展を拝見しました。どちらも、ほぼ同年代の作家により、8×10メインで撮影された作品という点が共通しています。
佐藤時啓写真展 光―呼吸:City Scape
中目黒の大通りから少し入った住宅街にあるPoetic Scapeというギャラリーです。美術館で観ることが多いこの作家の作品に接したのは、何と10年以上も昔のことでした。ギャラリーで間近に観ると、改めて写真の力が伝わってきます。広大な空き地や建物の前で、絶え間なくペンライトを振り回す作者の労力を想像すると、イマジネーションを定着するために払われた途方もない準備や努力に釘付けとなります。
巨大なプリントのほかに、8×10のコンタクトプリントが「お求めやすいお値段」になっていました。
大坂寛写真展 記憶の海
雑司ヶ谷のS3ギャラリーは、ことしの3月に岡崎正人氏の展示で伺った新しいギャラリーです。
8×10ネガをプリントするために、引伸し機を自作するというエネルギーも相当なもの。ただ、それ以上にあえて荒天を選んで撮影した海は、荒々しさよりどこか夢幻的な静けさが感じられます。
二つの展示をみて、写真のテーマの見つけ方、その掘り下げ方に無限の可能性があると再認識した次第です。


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