快晴の朝から一転して昼は雷雨という目まぐるしい木曜日の夕方、写真美術館の佐藤時啓展を観ました。
http://syabi.com/contents/exhibition/index-2238.html
長時間露光の間に鏡やペンライトを持って歩き回るというおなじみのシリーズが、8×10のネガから引き伸ばされた巨大なインクジェットプリントで展示されています。
お忘れの方があるかもしれませんが、今年の研究会のテーマは「光」なので、その参考になるかとも思って出かけた次第です。
何度も観たシリーズですが、巨大なプリントの前に立つと神秘的なイメージと同時に、暗闇の中で一心不乱にペンライトを振り回している作者の様子が思い浮かび、何回もの試行錯誤やリハーサルに費やしたであろう時間とエネルギーに思いを馳せることになります。 まさに光と格闘している姿!
展示の中盤以降は、ピンホール写真によるパノラマ撮影や、巨大なカメラオブスキュラを使った撮影など新たな視点を追求した作品ですが、個人的な好みでは、この作者ならではのユニークさ、美しさ、世界の見え方の魔術的な変革、といったものにはいささか欠ける気がします。 カラー作品が中心なのも影響しているのでしょうか。
入り口と出口にそれぞれ展示してあった、リスフィルムの裏面から光を当てた作品の美しさはまた格別です。
芸術家として一ヶ所にとどまることはできないのでしょうが、新たな視覚的興奮を期待せずにはいられません。
6時過ぎ、空を見上げると最後の残照が雲を輝かせていました。 自分が展示室に居た時間など、写真家が一枚の作品を撮る為に要した時間よりはるかに短かった、などと考えながら恵比寿駅に向かいました。
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