こんな題の本を読みました。(カンデル/高橋訳 青土社)
脳の働きから、それがどのように(How)絵画を理解していくのかを興味深く説明してあります。
脳科学の説明だけでなく、とくに近現代の抽象画につながる流れや、画家のエピソードなども豊富に取り上げられていて飽きることがありません。
ルネサンス以後の西洋画家は、三次元の世界を二次元のカンバスに表すことに苦心してきたが、ターナーが活躍した時代に写真術が登場すると、画家は非具象芸術を生みだす必要を感じるようになったと指摘し、「識別可能なフォルムを参照できないために」「鑑賞者の想像力により大きな負荷をかけ」「そこに自己を拡大し超越する経験を見いだせる鑑賞者には価値のある」抽象画が発達したと説明しています。
平たく言えば、なんだかよくわからない抽象画は見る人の想像を刺激するということなのでしょう。
アート全般の解釈というより、抽象画についての説明が重点になっています。
本書のタイトル(邦題)でもある「なぜアートがわかるのか」を探して読んでいくと、ちょっとはぐらかされてしまいましたが、自分は「Why」の答えを期待していたようです。
読み終えてから、本書でもよく触れているマーク・ロスコと杉本博司の「海景」シリーズをとりあげた本があることを知りました。
https://youtu.be/LfiYln3b7-4
画家の職業を奪い、方向性を変えさせた写真と、抽象画の再会とでもいえそうな企画ですね。
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