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2025年4月27日日曜日

「写真は死んだのか?」

― いまこそ写真の純粋な驚きを語ろう― というサブタイトルの本を読みました。飯沢耕太郎・大山顕氏の対談で、書店で見つけて早速購入しました。(梓出版社・税別2500円)

ニエプスの時代から生成AIまで、語られる範囲が極めて広いのですが、その広範な話題は生成AIによる画像生成を論ずるための下地なのでしょう。以前読んだ甲斐義明著 「ありのままのイメージ」と並んで、写真について新たな視点を与えてくれる刺激的な本です。

「写真は死んだのか?」というタイトルは、19世紀に初めて写真を目にした画家が「今日から絵画は死んだ!」と言った故事からとられたのでしょうが、そのご200年近くたっても絵画は死んでいないのと同様、写真は死なないというのがこの本の結論です。その結論にたどり着くまでの論考がたいへん興味深いのです。

生成AIは画像をコラージュして出力するだけであり、写真を撮ることを楽しむのは人間にしかできないという、いわばまっとうな指摘もうなづけます。

また、著者の一人である大山顕氏についても認識を新たにしました。いままでは「工場萌え」や「ジャンクション」のような写真集の作者という程度でしか知りませんでしたが、飯沢氏と互角に写真を論じる論客だとは、失礼ながら初めて知りました。

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ところで、本書を読みながら「なぜカメラオブスキュラの画像が魅力的なのか?」という積年の疑問が頭をもたげてきました。大判カメラのピントグラスを眺めているだけでも飽きないのはよく経験するところです。写真の発明はカメラオブスキュラの画像を定着したい、という欲求から行われたのですが、現実世界と変わらない(むしろ薄暗く、三次元が二次元に圧縮されている)画像に惹きこまれるのが不思議です。素人考えですが、私たちの脳が画像処理するとき、現実世界より二次元画像の方が楽だからなのでしょうか?



2025年4月17日木曜日

新緑撮影

 4月も半ばを過ぎ、近所の公園の新緑も美しくなってきたので撮影に出かけました。

グリーンフィルターがあればよいのですが、手持ちのレンズに合うものがないので、とりあえずそのままで撮影。古いTMAX400の実効感度EIを100としたので、昼下がりの条件でもシャッターは2秒ほどになります。

2025年3月28日金曜日

岡崎正人作品展 A PERSONAL SELECTION 1980-2020

 雑司ヶ谷に今年オープンしたという真新しいS3 Gallery で岡崎正人氏の写真展を拝見しました。ギャラリーは鬼子母神の近くで、どこか昭和の雰囲気を感じさせる街のなかにあります。
(オープンは毎週金曜から月曜日までの4日間。土曜日の15時からは展示作以外のポートフォリオを作者が見せるというビューイングもありますが、予約が必要。)

「表現の極北」というコトバがあります。極限に達することを表すのでしょうが、岡崎さんの写真を見ると、このコトバが頭に浮かびます。

ゼラチンシルバープリントで表現できる光の表現を極限まで追求した作品ばかりです。乾いた泥や氷が見せる抽象的なイメージや、雪に閉ざされた景色などが、撮影とプリントに費やしたエネルギーを感じさせます。

前回お邪魔したのは3年前の個展で、このときはピンホールの表現でしたが、今回はいつもの(?)シャープな作品です。


2025年3月19日水曜日

写真展巡り 西麻布・表参道・六本木

 3月も下旬近く、東京は朝から雪が降り、雷もなるという天気になりました。それでもいくつかの写真展を拝見してきました。いずれも白黒プリントばかりです。

古谷津純一写真展 東へ西へ (ギャラリーE&M西麻布)

このところハイペースで個展を開いている古谷津さんの展示です。前回からほぼ1年たちました。

6×6のスクエアフォーマットで統一した写真が並んでいます。それに倣って会場風景もスクエアにしました。

ステートメントは「(光景から)放たれた光の粒子は、秒速約30万kmの速度でフィルムに塗布されたハロゲン化銀に衝突し、潜像を形成する・・・そして自身の脳神経細胞に感動として記憶される・・・」と、きわめて学術的な表現になっています。なによりも、感動をもたらす光景を発見する能力こそが大切だと実感させられます。印画紙という紙に、漆黒の闇と光を記録する醍醐味が味わえる展示です。


服部一人写真展 パノラマ・東京・ミレニアム (ギャラリーストークス)

1999年から2000年にかけて、東京都内を6×12というフォーマットで撮り歩いた記録だそうです。何と手持ち撮影。四半世紀という時間を隔てて見ると、まだ昭和の雰囲気がのこっていて懐かしくなります。

← 作者とギャラリーオーナーの2ショット。作品に合わせてパノラマにしました。

吉良俊一写真展 もうひとつの影 (富士フイルムフォトサロン 東京)

デジタルカメラで撮影し、「銀プリント」に仕上げた作品だそうです。ビルの窓などに映った影を、抽象的なフォルムとしてとらえた作品が魅力的です。タイトルパネルはアクリル板に印刷したものを壁から5cmほど浮かして掲示し、その「影」を見せるという凝った仕掛けでした。

会場を出ることには、天気もすっかり回復していました。



2025年3月7日金曜日

都市の撮影(新宿)


 研究会のテーマ「都市」を撮っています。

渋谷ほどではないにしても、新宿もどんどん変化していきます。シャッターの調整が終わったワイドフィールドエクターで撮り続けています。

人通りの多い所なので、よく声を掛けられます。研究会を紹介する名刺サイズのパンフレットを渡していますが、今日はフィルムカメラ(35mm)で日本を撮り続けているというカメラマン氏と、ネパールから来たという日本語の上手な方とお話が出来ました。



2025年3月2日日曜日

CP+ 2025

 20℃を越える暖かな陽気となった3月2日、CP+の最終日に足を運びました。

さぞかし混雑していると思いきや、それほどのこともなく、かえって寂しさを覚える程です。みなとみらい駅からパシフィコ横浜まで、かつては切れ目なくバナーが並んでいたのですが、久しぶりに?きてみると、会場付近にちらほら出ている程度でした。それもキヤノンのプライベートショーかと勘違いするようなものしかありません。

銀塩写真関係の展示は無いものと思っていたのですが、富士フイルムには「ハイブリッドインスタントカメラ」と銘打ったインスタックス・ワイド・EVOなるカメラが出展されています。「デジタルポラロイド」という方がぴったりくるかもしれません(もちろん言いませんが・・・) シャッターを押してから数秒で写真が取り出せ、数十秒経つと画像が現れます。画面サイズは約6×10センチ(右の写真)

20年以上昔にも同社で同じコンセプトの製品があったと記憶しますが、カメラから写真が顔を出すまでが延々と長く、たとえば数人で記念撮影して皆に配る、などという事は出来そうにない代物でした。技術は進歩するものです。

他にも台湾製フィルムスキャナーの新製品があるなど、銀塩関係もまだすこしは生きているようでした。

2025年2月24日月曜日

川村賢一写真展 Once Upon a Time in America

 この数日、半世紀前のフィルムから作った写真展を観る機会が続きましたが、今日はJR三鷹駅近くの「ぎゃらりー由芽のつづき」で川村賢一写真展 Once Upon a Time in America を拝見しました。

お話によると1980年の一か月間、アメリカ東部をグレイハウンドバスで撮り歩いたということです。建築士である作者の視点は構成的でスキがなく、見事です。また街角のスナップショットの一瞬の切り取りが、いかにもこの時代を感じさせるものになっていました。

膨大なフィルムをスキャンして過去の作品をよみがえらせ、こうして展示することも重要になってくると感じた次第です。


2025年2月23日日曜日

慶応大学カメラクラブOB 三人展など

 JCII地下のクラブ25で開催中の写真展にお邪魔しました。出展者のおひとり・伊藤さんが、以前研究会の写真展に来場いただいたご縁です。

他の方はデジタルカメラで撮影しているなか、おひとりだけ銀塩フィルムで撮影し、それをスキャンしてプリントしているそうです。

「街の記憶」をテーマに、表通りからは見えない、ひっそりと佇む風景をとらえています。令和になってから撮られた写真も、懐かしく感じるのがフィルムならではなのでしょう。

片隅には50年前のネガからプリントした作品も少し展示されていましたが、かなりビネガーシンドロームに侵されてしまっているそうです。


半蔵門を辞してから表参道のギャラリーストークスで鈴木孝史先生の展示に伺いました。鈴木先生も半世紀前のネガからプリントしておられましたが、コダックのフィルムは殆どビネガーシンドロームを発症しないとか。

今更わかっても、あとの祭りです・・・



2025年2月5日水曜日

ワイドフィールドエクターの修理

 10年近く前に入手したワイドフィールドエクターは、シャッターが相当くるっていましたが、夕景などで長時間露光が多くだましだまし使っていました。

最近、昼間も!撮ることが増えてきたので、意を決して調整を頼みました。以前は九段下にあったTOYOカメラサービスですが、最近移転されたようです。

宅配便で送って待つことしばし、調整が出来てきました。これで安心して撮影できます!

調整前は相当狂っていました。とくに1/2秒や1秒はバルブになるありさまでした。 内部は相当さびていたそうです。
もともとシャッターレバー先端の小さな指あてが欠損していたのですが、戻ってみるとちゃんとついていました! 感謝!