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2018年3月28日水曜日

画像からくり

西麻布のギャラリーを辞してから、地下鉄で中野坂上の工芸大へ。日本写真学会の「写真好きのための定例講演会  画像からくり・その表と裏」に参加しました。

「画像技術史」や「メディア技術史」がご専門の先生が様々な視覚トリックのコレクションを紹介して頂く興味深い内容です。
画像機器の5大要素を「形と大きさ」「奥行き」「動き」「色」「明暗」として、それぞれに「時分割」「像面分割」・・・などの技術的アプローチがあったことを技術史として記述することは、目からうろことも言えるおもしろさです。豊富な実例の紹介に時間が追いつかないうらみはありましたが。

参考リンク:
日本写真学会トップページ
http://www.spstj.org/
学会誌連載「画像からくり」のページ
http://www.spstj.org/gallery/ichiran.html
立命館大学 北岡先生の錯視のページ
http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/

10年前には華やかに登場した「3Dテレビ」が、見る影もなくなったのは、忘れた頃に流行する「立体写真」や「立体映画」のひとコマに過ぎなかったわけですが、これらがなぜ定着しないのかを知りたいと思いました。

お話が終って、工芸大の帰路には時々立ち寄る喫茶店「ジニアス」へ。

吉祥寺の「MEG」が閉店したので、かつてのジャズ喫茶といえる店はいよいよ絶滅危惧種になってしまいました。

佐藤理写真展 ギリシャの白

予ねて案内を頂いた佐藤理写真展「ギリシャの白」をギャラリーE&M西麻布で拝見しました。(4月7日まで)
http://www.takeuchi-studio.jp/gallery_em/

8×10カメラをかついで、エーゲ海に浮かぶ島々を回ったそうです。密着焼と16×20のプリントは、白黒写真の極致ともいえるトーンで、漆喰建築のまぶしい白さを描いています。撮影時のフィルターは殆ど使わなくても空の青さ、雲の白さが表現できるそうで、日本の湿った空気とはまるで異なるようです。
お話を聞くと、引伸し機をご自分で改造されるなど、撮影に留まらず工夫を積み重ねた結果の表現の豊かさであることがわかりました。

2018年3月18日日曜日

4×5 多重露光装置

最近、シートフィルムの発売中止や値上げが相次ぐご時勢となってきました。止むを得ず別の銘柄に乗り換えることがあるのですが、ゾーンシステムではフィルムの実効感度や現像時間を自分で決めることが重要です。そのためには何枚ものフィルムを撮影、現像しなければならず、手間も費用も決して少なくありません。
以前、会報58号(2014年12月)に、4×5用ステップタブレットの製作記事を発表しましたが、NDフィルターを多く使うために費用もたかく、コストパフォーマンスはいまいちでした。
そこで改めて安価なものを試作してみました。
材料は5mm厚の硬質スポンジシートと1mm厚の黒ボール紙で、せいぜい数百円で済みます。
この「装置」をフィルムホルダーと重ねてカメラに装てんし、スライド板を滑らせながらシャッターを切ると、1枚のシートフィルムに最大7種類の露出をすることが出来ます。
NDフィルターを使う方式は、1回のシャッターで数種類の露出が一度にできることを狙ったのですが、今回の方式は何回もシャッターを切る必要があります。しかし、工作も簡単で安価なので、より実用的かと思っています。
実効感度を求めるにはゾーンIの前後で1/3絞りずつ変えた露出をしますが、これをフィルム1枚で済ますことができます。
試用結果と詳しい作り方は、いずれ発表するつもりです。

老婆心ながらご注意: フィルムホルダーの引蓋の替わりに穴を開けた板を差し込むと、抜けなくなってひどい目にあいます。

全部品


組み立てた状態(上)とフィルムホルダー(下)
フィルムホルダーと重ねてカメラに装てんした状態

2018年3月15日木曜日

古谷津純一 銀塩写真作品展

古谷津さんの作品展 seascapes がいよいよシリウスで始まりました。(21日まで)

この半年をプリントに集中したというだけあって、すばらしい作品が並んでいます。夜明けのドラマチックな風景ばかりでなく、砂浜のパターンの美しさや流木など、8×10で精密に描写された絵は見飽きることがありません。タイトルを「写真展」ではなく「銀塩写真作品展」としたことにもその意気込みを感じることができました。
作品一点ごとにはタイトルをつけず、すべてを seascapes に統一してあります。お気に入りの作品番号を投票するというしかけも自信の現れでしょう。

お話を伺うと、長年集中した海のつぎのテーマに向けた準備をされているということで、そのクロスオーバーとなる最新の作品はとても素敵なものでした。




2018年3月10日土曜日

PHOTOGRAPHIC ART ASIA 2018

3月10日の例会終了後、有志で表参道のギャラリー5610へ向かいました。

PHOTOGRAPHIC ART ASIA 展は、「個性豊かなビジョンを世界のアート愛好家に向けて発信しているアジアの写真作家グループ」ということで、年を追うごとに作家や作品のバリエーションも豊かになっていくように感じます。
古典技法から銀塩写真、デジタル写真など技法や表現方法も多様で、さながらアート写真のショーケースという楽しさもあります。もちろん「何でもアリ」ではなく、一定の価値観によってセレクトされた質の高さを維持しています。
 表現の自由度があるということは、型にはめられる以上に高い創造性を求められると再認識させられた展示でした。

2018年3月1日木曜日

CP+

今日から3月。関東地方は朝から春の嵐と予報が出ていたのですが、昼前にはすっかり晴れて暖かい一日になりました。今年もCP+でみなとみらいへ。
展示会場をざっと観てからパネルディスカッション「こんなカメラが欲しい」を聴講。会場には知った顔もちらほらありました。
主要メーカーのカメラ開発責任者によるお話なので期待していたのですが、どうも皆さん歯切れが悪い。「自撮りがしやすいカメラ」「音楽会で音が邪魔にならないカメラ」などといった、すでに実現済みの機能ばかりで、あまり夢のある内容は聞けませんでした。

で、メインの会場に戻り、毎年かならず立ち寄る日本写真学会のブースへ。例年は隅のほうに出展しているのですが、今年は中央に近いので探すのに時間がかかってしまいました。
ここでのKさんのレトロで新鮮な錯視プレゼンは見飽きることがありません。デジタルカメラでもこういう夢やお遊びが欲しいとおもいつつ会場を後にしました。