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2026年6月2日火曜日

富士フイルムフォトサロンとPGI

台風が近づきつつある日の午後に、ギャラリーを二か所めぐりました。

1 六本木 富士フイルムフォトサロン

 井津建郎 「無常」は、超大判カメラでとらえた遺跡などなじみ深いイメージが主ですが、このギャラリーの方針で額にガラスは入れてないため本当に間近に見ることができます。
なかにはベルトパーティションが設置されている貴重な作品もあります。
大部分はプラチナプリントですが、ゼラチンシルバープリントもあって、描写の違いを楽しむことができました。プラチナプリントはリアルな世界よりも、どこか別の世界を描くのに適しているように思えるのは、考えすぎでしょうか。
会場には同時に日本写真協会賞を受賞した作品が展示してあるのですが、それぞれの表現領域があまりにかけ離れているようで、正直なところすこし戸惑いました。

写真歴史博物館には潮田登久子「マイ ハズ バンド」が展示してあります。こちはらはプリントサイズも小ぶりで、ホームドラマを見るような親しさがあります。作者は大辻清司氏に師事したということで、家族を見つめる視線、というより作者を見つめる家族の視線にどこか師の影響が感じられるようです。

六本木駅から地下鉄大江戸線に乗り、2駅目の赤羽橋からPGIへ。

2 原直久「柘榴」
小さな果実を8x10で接写するのは技術的にも大変な作業だと想像されます。果肉は宝石のように輝いていて、まるで内部から発光しているようにも見えます。
プリントは銀塩、プラチナ、インクジェットが使われているそうですが、ほとんど見分けることができないほどクオリティがそろっているのも作者の力量を感じさせます。

もっと長居したかったのですが、空模様も怪しくなってきました。


 

2026年5月14日木曜日

本橋成一・広川泰士 作品展「原点」

若き写真家がとらえた筑豊、とサブタイトルが付いた写真展を観ました。(JCIIフォトサロン 5月31日まで)
二人の写真家は1960年代から70年代にかけて、お互いの存在も知らずに筑豊を撮り続けたそうです。本橋氏(昨年逝去)は広川氏より10歳年上とか。やはり作風にそれぞれの時代を感じさせるものがあります。両者ともにオリジナルプリントの展示で、見比べていくと興味が尽きません。カメラやべた焼きアルバムも展示してあるので、作者の現場でのアプローチも追体験できます。

本橋作品は正統的な(?)グラフジャーナリズムの写真という印象です。エネルギー転換政策の犠牲となった人たちを、共感を持って描いているようです。
いっぽうで広川作品は、70年代初期の雰囲気がただよっています。粒子を荒らし、硬調に仕上げたプリントはどちらかといえば「情況」を提示することに重きを置いているような気がします。(勝手な解釈ですが・・・) 

才能ある写真家の、スタート地点をみていくのも勉強になります。

2026年3月20日金曜日

服部一人写真展 「いつか見たタイ」

 ギャラリーストークスの服部一人写真展「いつか見たタイ」にお邪魔しました。

パノラマカメラ(手作りの6×12)で撮影し、プリントもご自分で焼いたという写真は暖かみのある視線で統一されています。フィルムは富士とコダックを使ったそうですが、プリントをみても区別は出来ません。

カラープリントの手作業は大変な苦労があると思いますが、フィルム文化を何としても残したいという強い使命感をお持ちでした。しかしながら、富士フイルムがカラー印画紙の製造をやめるというアナウンスが先ごろあったとかで、大変なご時世になったものです・・・




6×12カメラは既存のパーツを組み合わせたという手作りで、存在感があります。
4×5グラフロックに蛇腹のフォーカシングレールの付いたホースマンの部品は、引き伸ばし機にも応用できそうです。









服部先生の大判カメラワークショップには、研究会の会員も参加していますが、これからも続けるそうで楽しみです。

2026年3月18日水曜日

小林紀晴写真展「Cyber Modernity」


 ニコンサロンの小林紀晴写真展は、予想に反し(失礼!)大判カメラで撮影されたかのように都市を精密に描写した素晴らしいものでした。作者の名付ける「超現代電子空間」には生身の人間は殆ど見当たりません。ほとんど例外的に女性の半身像がありますが、都市を眺めている後ろ姿で、主役というよりは我々と同じ観客の一部のようです。
東アジアの、その土地の伝統や文化と切り離された異様な都会風景は、月並みな印象ではブレードランナーの舞台のようにも見えます。空飛ぶ自動車でも写っていないかと、探してみました・・・
会場を出て表を眺めると、新宿の街も異様な光に包まれているような錯覚を覚えました。

2026年3月6日金曜日

建て物写真展と杉山吉良展

  JCIIで二つの写真展をみました。

・第21回 建て物写真展

以前会員だったK氏が世話役を務めている建物の写真展(前回はこちら

国内外の建物を様々な角度で切り取っています。自分の好みもあるでしょうが、白黒写真の方が建築物の構造を見せるのに適しているようです。


杉山吉良作品展 「美しき巨人」

女性写真で有名な写真家の作品展ですが、90歳近い実業家・松永安左ヱ門氏を10年間追い続けたポートレートです。日常の瞬間を切り取る撮影の腕前もみごとですが、それ以上に驚いたのはプリントの美しさです。係りの人にお話を聞くと、60年前のオリジナルネガからあらたにJCIIの担当者がプリントしたのだそうです。この時代のネガはビネガーシンドロームに侵されるものだと思っていましたが、そのような形跡は感じられません。保管方法による違いもあるのでしょうか。



2026年2月27日金曜日

CP+ 2026

 パシフィコ横浜のCP+に行きました。昨年と同様、駅から会場までのバナーは控えめです。

会場には今までより銀塩写真の関係が増えたように思います。なかでもポラロイドが結構大きなブースを構えているのに驚きました。話を聞くとフィルム生産は継続しているとのこと。かつて「インポッシブル・プロジェクト」として、元従業員が再開したのだそうです。ロゴはPolaroidからpolaroidに替っていました。

おもわず「ピールアパート方式のフィルムは再開しないの?」と聞くと、「その質問は今日で5人目です!」とのご返事でした。タイプ55フィルムなどの再開は無理そうです。

銀塩関連ではかわうそ商店もブースを構えています。フィルムだけでなく現像タンクも色々あり、パターソンのタンクでシートフィルムを現像するアダプターや、モーターで回転させる装置など、興味深いものがあります。

薬品ではコダックのD76やエクストールも展示してありました。並行輸入で入手可能だそうですが、お値段もフィルム並みに上がってしまうようです。

昨年以前に比べ銀塩写真の復権が目立つようで、すこしうれしくなりました。

不思議な展示も・・・

ウエストレベルファインダーを備えたデジカメのコンセプトモデルがキヤノンにうやうやしく飾ってあります。具体的な発売予定はなさそうですが、粗い画質がアナログ的・・・というコンセプトらしいので、少し違うなあと思いつつ会場を後にしました。





2026年1月31日土曜日

二つの眼差し 矢島公雄+Chema Madoz写真展

私たちは写真が三次元の世界を二次元に表現するものだ、という知識や先入観を持っているのですが、それを逆手にとったマジックをみるとなぜかとても楽しくなります。

ギャラリーE&Mで終了間近の矢島公雄+Chema Madoz写真展を観ました。

何気なく見ると積み重ねた本に過ぎない写真から、とつぜんエッフェル塔が浮かび上がったり、青空だと思っていたら青い紙だったり・・・と、作家は「図」と「地」を自由自在に入れ替えたり、空間と実体をすり替えてしまいます。見ていくに従い、次の写真にはどんな仕掛けがあるのか、身構えている自分に気づきます。

作家が好きだったというマグリットの絵と共通する諧謔の精神も感じます。

幸運なことに会場には作家の奥様が居られて、作品創りの種明かしや苦労話などを伺うことが出来、とても楽しいひと時になりました。現在ならデジタルで合成なども容易にできるのでしょうが、アイデアを実現するために、途方もない努力がはらわれたということも驚きです。アイデアの発見と執念とがこれらの作品を成り立たせているようです。

***

作家の矢島公雄氏は、病床でこの展示の様子をスマートフォンの画面で確認してから旅立たれたそうです。鮮やかなマジシャンの幕引きにはさらに驚かされました。



2026年1月15日木曜日

暗室フェス

 浅草橋駅から歩いて数分のところにある「写真企画室ホトリ」で、「暗室フェス」を拝見しました。
DMをみると、暗室用品の即売会か?とも思えますが、作者が暗室でプリントした作品を展示する公募展です。白黒だけではなく、カラープリントの手焼きもあります。キャプションにプリントした暗室も表記してあるのがユニークなところで、名の通ったレンタル暗室や自宅暗室など様々ですが、やはり自宅で処理する人は少数派のようです。









1階のギャラリーから急な階段を上ると手作り感満載の暗室があります。研究会会員の鈴木さんが整備に力を尽くしています。

暗室で作品を作り、それを同じギャラリーで展示するのが理想的です。

(この暗室のレンタルはまだ検討中だそうですが)

暗室で写真を創るというプロセスは手間も費用もかかりますが、何をどう表現するのか、ゆっくりと検討しながら仕上げていくのが大切ですね。