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2023年11月22日水曜日

小川一眞と写真製版 展

 H会員の情報で、飯田橋から少し歩いたところにある印刷博物館で開催中の「明治のメディア王 小川一眞と写真製版」展を観てきました。

小川一眞(おがわ かずまさ)という明治の写真師は、明治百年記念に発行された「明治の機関車コレクション」という写真集の撮影者、というほどの知識しかありませんでした。しかしこの展示を観て写真印刷にも大きく貢献した人だ、との認識を新たにしました。

写真を複製する技術は、ネガポジによる「焼付け」から「印刷」に移ったことで桁違いの大量生産が出来るようになりましたが、その技術もコロタイプから網目印刷へと発展していきました。小川はその両方の導入に力を注いだそうです。

展示はそうした彼の作品や歴史的な成果が中心で、技術的な内容には少し物足りなさも感じました。ただ、会場の係の人に質問すると、わざわざ担当の方を呼んでいただき、より詳しい説明をしていただけました。

先日観たDNPと今回のTOPPANと、業界の二本柱が写真印刷に関わる展示を行っているのも興味深いところです。


2023年11月12日日曜日

[告知]ゾーンシステム研究会写真展および会場での撮影アクセサリ即売

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光への探求-銀塩写真の魅力-
ゾーンシステム研究会 第27回写真展

2023.12/7〜13
open 10:00〜18:00
最終日は15:00まで
日曜休館

TEL 03-3350-1211

アイデムフォトギャラリー「シリウス」
東京都新宿区新宿1-4-10アイデム本社ビル2F
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私たちは大中判カメラを使い、撮影からフィルム現像、白黒印画紙へのプリントまでの技法としてゾーンシステムを活用し、自然風景 、都市風景、静物などの美を追求しています。

ゾーンシステムを活用した撮影では光を見極めることが大事です。その際に強力な援軍になるのが古くからあるビューイング・フィルター。フレームをのぞくと原色の風景がアンバー色に変わり、色に惑わされず光のバランスを見極めできるようになります。(個人差はありますが・・)

以前は海外メーカーから市販されていたのですが、デジタル化の進展の影響か?見かけなくなって数十年。「ないなら作ってしまえ」精神+令和なテクノロジで伝統的なアクセサリを復活させてみました。
特徴は以下です。特に、3)は既存品にはない自慢ポイントになっています。

1)期限切れ未使用カラーフィルムをリユースしたエコなフィルター
2)水分厳禁なゼラチンフィルター未使用かつプラスチック製フレーム採用により、雨で濡れても乾かせば利用可能。
3)フレームフォーマットを交換可能(4x5,6x6,6x9)

写真会場で自作したビューイング・フィルターを展示・即売する予定です(*)。
是非、お手に取って効果を体感してください。

(*)会場限定価格 1セット1000円(30個限定)
    初心者の方には、同時に即売する「ゾーンシステム テキスト」もオススメします。





大辻清司 「フォトアーカイブの新たな視座」を支えた技術

 厳密にいえば写真展ではないのですが、市谷のDNPプラザで開催中の「大辻清司 「フォトアーカイブの新たな視座」を支えた技術」展を観ました。(12月15日まで)

大辻清司生誕100年を記念した展示は武蔵野美術大学美術館で行われたのですが、プリントが残されていなかった作品をオフセット印刷で新たに「プリント」したそうです。その技術を紹介しています。
オフセット印刷とはいうものの、印刷機で大量に刷るものとは違い、職人技の手作業です。インクも特別なブラックとグレーを使い、さらに表面をコーティングするので光沢感が均一になり、ほとんどゼラチンシルバープリントと区別がつかないレベルです。


刷版(さっぱん)の実物も展示してあります。

この技術を写真集などの印刷に使えないかと質問したところ、そのような予定はなく、仮にできたとしても、とんでもなく高いものになるだろうというお話でした。

また、作品の展示はフレームを使わず、マットに入れたものを壁に固定してありましたが、プリントとオーバーマットの間には低反射のシートが挟んであるそうです。そのシートも高価で、一枚分がン万円もするそうで仰天しました。

2023年11月1日水曜日

立木義浩 肖像/時

 写大ギャラリー「立木義浩 肖像/時」の最終日(11月1日)に飛び込んできました。

とくに1960年代、カメラ毎日などに発表された作品は懐かしいと同時に、今見ても古さを全く感じさせない素晴らしい作品でした。係の方に伺うと、すべて作者の手によるプリントだそうです。

会場の告知によると、本日の終了後に作者本人によるギャラリートークがあるとか。残念でしたが、後ろ髪を引かれる思いで会場を後にしました。

神田川沿いに少し歩いてGeniusでひとやすみ。道玄坂小路にあったころから変わらないスピーカから流れる音が、先ほど観た写真とオーバーラップします。