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2017年3月31日金曜日

桜咲く…

東京では3月21日に開花宣言がでましたが、1週間以上経ってもあまり咲き進んではいません。それでもなぜかそわそわするのは写真好きの性というものでしょうか。
散歩の途中で時々のぞいている公園に行ってみました。日当たりのよい一角だけがよく咲いています。
昨年オークションで手に入れたワイドフィールドエクター190mmの出番がようやくめぐってきました。フジノンW180mmf5.6よりはイメージサークルが大きくて使いやすいのですが、如何せんシャッター速度が頼りなく、どんな風に撮れたかは現像してのお楽しみ!

池を一回りしてから、カフェが開くのを待って一息いれるのがお決まりのコースです。

週末は天気が崩れそうで、お花見にはあいにくでしょうが、公園にはいたるところにブルーシートが敷かれ、場所取りの人たちが寒そうにしていました。酔っ払い対策なのか、ブランコもご覧の通り。

2017年3月30日木曜日

アジェへのオマージュ

最近は古典技法を用いた展覧会をよく目にするようになりました。プラチナプリントはその筆頭でしょうが、鶏卵紙の愛好者もそれなりにはあるようです。名前からの連想だけかもしれませんが、あぶない物質をそれほどは使わないですむという特長もありそうです。(クロムを使ってコントラストを調整することもあるようですが)

ギャラリーバウハウスの「稲垣徳文写真展 HOMMAGE   アジェ再訪」では、幸い作者にいろいろと興味深いお話を聞くことができました。
アジェの写真の場所を探してほぼ同じアングルで撮影し、当時と同じように鶏卵紙にプリントしたそうです。8×10に180mmレンズをつけて、イメージサークルが小さいために画面上部がアーチ状にケラれるところまで再現するという徹底ぶり。天候もアジェの作品に近づけるように待ったそうです。5年間パリに通ったという作者の情熱には頭が下がります。

鶏卵紙はもちろん自家製で、これにプリントすることでアジェの世界を再現し、同時にゼラチンシルバープリントにも焼いて並べて展示してあります。

私がアジェの作品を知ったのは印刷による複製で、オリジナルを見たのはずいぶん最近になってからだと記憶しています。それもアボットによるプリントだったかもしれません。同じ風景でもプロセスによる表情の違いが顕著にあらわれて興味深いものがあります。その一方で100年前の風景が多く残っているところにヨーロッパの歴史の重みをも感じます。

かつてアジェの写真は「犯罪現場のようだ」と評されたことがありました。パリの街がこれ以上犯罪現場にならないよう願うばかりです。

水について

最近のスーパーにはたいてい浄水器が置いてあり、初めに有料のボトルを買えば、あとはいくらでもタダで水汲みができます。
私も写真の薬品を溶かすにはもっぱらこれを利用しています。
市販の薬品は水道水を使うことを前提に調合しているはずですが、不純物の少ない浄水を使うほうがよりよいように思い込んでいます。もちろん、目に見えるような違いはありませんが…
ずいぶん前「写真工業」誌に「超ファインプリント入門」という連載記事があり、そこに水質の違いが結果に現れるという記述があったと記憶していますが、探し出せませんでした。どなたかご教示いただけないでしょうか。

で、この水は写真用ばかりでなく、普段の飲食にも使っています。(それが本来の用途ですが) 数ヶ月間湯沸しポットで利用していると、水道水とは明らかにちがい、まったく湯垢がつかないことを発見しました。これこそが目に見える違いです!

2017年3月22日水曜日

写真集

昨日、三省堂・洋書売り場で特売コーナーを見つけ、"ジョージア'オ・キーフ/アンセル・アダムス" の写真集をゲットしました。前半はオキーフのゴーストランチのカラー風景画、つぎにアンセルの写真が続き、6点もの始めてみる写真にちょっと感動。印刷も美しく、価格は1900円。
アンセルは、オキーフに会えたことでポール・ストランドを知り、写真家になる決意をしている。
特にオキーフの芸術に対する情熱と精神力、ポールの写真家としての生き方に強く影響されたといわれている。芸術に取り組む作家や作品に接していることが大事といえます。

洋梨の誘惑

アンコールワットなどで見慣れた重厚な作風とは打って変わって、軽快な鱒釣りの風景から写真展は始まります。解説によるとこれも大判で撮ったそうですが、まるでスナップショットのように自由自在にカメラを操っているところはさすがです。

ギャラリーバウハウスの井津建郎写真展「洋梨の誘惑」を会期末間際に訪れました。
階下の展示は洋梨を肉感的に撮った作品です。作者のステートメントによると洋梨の味と形に魅せられたそうですが、プラチナプリントのやわらかな表現がその思いとマッチしていて魅力的です。仮面に自己を仮託した表現に、対象を凝視するいままでの姿勢とは異なる方向を感じました。

見ていると My favorite things のメロディーが聞こえてきそうな、楽しい展示でした。



2017年3月11日土曜日

BIBLIOTHECA/本の景色

書店、特にチェーン店で本を買うとレジで「お品物です。」と言って渡されることにどこか違和感を覚えるのは私だけでしょうか。確かに本も「お品物」であることに間違いはないのですが、生活必需品系のモノとはどこか格が違う、特別な存在に思えるのは人間が古い証拠かもしれません。まして電子書籍であればモノですらない「お情報」とでも呼ぶべき存在になるのでしょうか...
PGIで開催中の潮田登久子写真展「BIBLIOTHECA/本の景色」を観ていると、こんなことがぼんやりと心に浮かんできました。(4月28日まで)

写真家は「・・・『本』をオブジェとして写真撮影を試みているうちに、情報の担い手という『本』自体の持っている役割を超えて、新たに『本』そのものの存在が魅力となって浮き上がってきました。」といいます。
難解な書籍で知られる出版社の社屋(というより家)に積まれた本、実験写真で知られた写真家の、主の不在となった書斎に積まれ、土に還りつつある本、などなど。本というモノの存在は、その中に担われた情報のみならず、バックグラウンドの情報によって果てしない広がりをもつということを再認識させられ、見飽きることがありませんでした。

今回の「この指とまれ」はゾーンシステム研究会例会後に二手に分かれ、内藤明個展「echo」と潮田登久子写真展をそれぞれ訪れました。



2017年3月10日金曜日

硝子の驚異

物置を整理していて古い本を見つけました。題して「硝子の驚異」(F.シェッフェル著 藤田五郎訳 天然社)、昭和17年初版で、手元にあるのは18年の再版です。裏表紙には「『硝子の驚異』はツァイス、アッベ、ショット三傑人の伝記を叙しつつ、ツァイス光学工場の、従って又天下に冠たる独逸光学工業の駸々たる発展史を描破したものである。・・・」とあり、とても興味深そうな内容なので読み始めました。
訳書の序文にもあるように、ツァイスの名は今でもブランドとして定着していますが、アッベやショットはそれほど有名ではないようです。私も三人の名前程度は知っていましたが、光学業界で同時代に活躍した人たちという認識はありませんでした。

で、期待をこめて読み進めると、なんともいえずはぐらかされてしまいます。大げさな形容詞にまぶされた、見てきたような情景描写と心理描写はあるものの、彼らが技術的にどのような課題に取り組み、それを克服してきたかについては殆ど記述がありません。
ガラス屋のショットが、新種の光学ガラスの開発に成功した件はこんな具合です。
「・・・幸運と賢明さと運命とが、ショットの実験を操った。一高一低する緊張と弛緩とに一上一下する成功と幻滅とに、精も根も尽き果てながら、尚もしっかと喰ひ下がるのだった。是が非でも頑敵を圧伏しないことには!/百三十回目の実験を片附けた時、欠陥は除去された。硝子は空気に耐へたのである。・・・」(訳書254頁)
色収差を改善するための低分散ガラスを開発するのに耐候性で苦労したらしいのですが、こんな記述ばかりで具体的に何をしたかが伝わりません。いまどきの論述試験なら文句なく落第点でしょう。
調べてみると原著の発行は1938年、翻訳はそれから4年後ということになります。ナチスによるオーストリア併合など、世界大戦に突入しつつある時代背景を考えると軍事機密として自由に書けないような制約も多々あったのでしょうか。

結局読んで判ったことといえば「ツァイスは顕微鏡工場の経営者であったこと」「アッベはそれまでの試行錯誤による顕微鏡設計に光学設計の理論を導入し、他社を圧倒する性能にしたこと」「ショットは新種の光学硝子の開発に成功し、他国からの輸入に頼らなくてもよくなったこと」「アッベはツァイスの跡をついで工場を財団にし、労働者の待遇改善にも尽力したこと」といったことでした。もちろんカメラのカの字も出てきません。(訳書の序文は別として)
温故知新とはいうものの、これはちょっと期待はずれでした。

内藤明個展「echo」

高田馬場ちかくのこぢんまりとしたギャラリーAlt_mediumで内藤明個展「echo」を観ました。
ゼラチンシルバープリントの魅力を発揮した展示です。
端正にプリントされた静謐な風景は、漆黒の中にもかすかなディテールがあり、一方でハイライトのトーンも逃していません。どれも凝視を強いられる素晴らしいプリントです。
作者は風景をX字型に切り取ることがお好みのようで、それぞれの象限(?)に光と闇がダイナミックに交錯しています。風景をヴィジュアライズすることの重要性を再認識させられる、刺激的な内容でした。
5×7プリントの販売価格も驚くほどリーズナブルで、思わず欲しくなってしまいました。

2017年3月8日水曜日

JOBOプロセッサー

先日のCP+で中国製のプロセッサーを見たのに刺激され、我が家のJOBOプロセッサーも少しグレードアップを図っています。
当面の目標は最大16×20のプリントが処理できるようにすることです。ドラム2830と2840を連結すると最大16×20が収容できるのですが、全長が60cm余になり、ドラムの回転と薬液の注入・排出が結構大変になります。

そこでホームセンターで丁度サイズの合うプランター(今回は65cmタイプ・500円程度)を求め、端面の一部をのこぎりで切り取りました。プランターには適温の水(今の気候ならお湯)を張り、ドラムを浮かべて回します。
もちろん全手動です。






端面に切欠きをつけることでドラムを傾けやすく、薬液の排出が楽になります。
ちなみに薬液用の瓶などは100均で買ったので、ここに写っている設備類は合計で1000円ちょっとです。(もちろんドラムは別ですが)