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2025年3月28日金曜日

岡崎正人作品展 A PERSONAL SELECTION 1980-2020

 雑司ヶ谷に今年オープンしたという真新しいS3 Gallery で岡崎正人氏の写真展を拝見しました。ギャラリーは鬼子母神の近くで、どこか昭和の雰囲気を感じさせる街のなかにあります。
(オープンは毎週金曜から月曜日までの4日間。土曜日の15時からは展示作以外のポートフォリオを作者が見せるというビューイングもありますが、予約が必要。)

「表現の極北」というコトバがあります。極限に達することを表すのでしょうが、岡崎さんの写真を見ると、このコトバが頭に浮かびます。

ゼラチンシルバープリントで表現できる光の表現を極限まで追求した作品ばかりです。乾いた泥や氷が見せる抽象的なイメージや、雪に閉ざされた景色などが、撮影とプリントに費やしたエネルギーを感じさせます。

前回お邪魔したのは3年前の個展で、このときはピンホールの表現でしたが、今回はいつもの(?)シャープな作品です。


2025年3月19日水曜日

写真展巡り 西麻布・表参道・六本木

 3月も下旬近く、東京は朝から雪が降り、雷もなるという天気になりました。それでもいくつかの写真展を拝見してきました。いずれも白黒プリントばかりです。

古谷津純一写真展 東へ西へ (ギャラリーE&M西麻布)

このところハイペースで個展を開いている古谷津さんの展示です。前回からほぼ1年たちました。

6×6のスクエアフォーマットで統一した写真が並んでいます。それに倣って会場風景もスクエアにしました。

ステートメントは「(光景から)放たれた光の粒子は、秒速約30万kmの速度でフィルムに塗布されたハロゲン化銀に衝突し、潜像を形成する・・・そして自身の脳神経細胞に感動として記憶される・・・」と、きわめて学術的な表現になっています。なによりも、感動をもたらす光景を発見する能力こそが大切だと実感させられます。印画紙という紙に、漆黒の闇と光を記録する醍醐味が味わえる展示です。


服部一人写真展 パノラマ・東京・ミレニアム (ギャラリーストークス)

1999年から2000年にかけて、東京都内を6×12というフォーマットで撮り歩いた記録だそうです。何と手持ち撮影。四半世紀という時間を隔てて見ると、まだ昭和の雰囲気がのこっていて懐かしくなります。

← 作者とギャラリーオーナーの2ショット。作品に合わせてパノラマにしました。

吉良俊一写真展 もうひとつの影 (富士フイルムフォトサロン 東京)

デジタルカメラで撮影し、「銀プリント」に仕上げた作品だそうです。ビルの窓などに映った影を、抽象的なフォルムとしてとらえた作品が魅力的です。タイトルパネルはアクリル板に印刷したものを壁から5cmほど浮かして掲示し、その「影」を見せるという凝った仕掛けでした。

会場を出ることには、天気もすっかり回復していました。



2025年3月7日金曜日

都市の撮影(新宿)


 研究会のテーマ「都市」を撮っています。

渋谷ほどではないにしても、新宿もどんどん変化していきます。シャッターの調整が終わったワイドフィールドエクターで撮り続けています。

人通りの多い所なので、よく声を掛けられます。研究会を紹介する名刺サイズのパンフレットを渡していますが、今日はフィルムカメラ(35mm)で日本を撮り続けているというカメラマン氏と、ネパールから来たという日本語の上手な方とお話が出来ました。



2025年3月2日日曜日

CP+ 2025

 20℃を越える暖かな陽気となった3月2日、CP+の最終日に足を運びました。

さぞかし混雑していると思いきや、それほどのこともなく、かえって寂しさを覚える程です。みなとみらい駅からパシフィコ横浜まで、かつては切れ目なくバナーが並んでいたのですが、久しぶりに?きてみると、会場付近にちらほら出ている程度でした。それもキヤノンのプライベートショーかと勘違いするようなものしかありません。

銀塩写真関係の展示は無いものと思っていたのですが、富士フイルムには「ハイブリッドインスタントカメラ」と銘打ったインスタックス・ワイド・EVOなるカメラが出展されています。「デジタルポラロイド」という方がぴったりくるかもしれません(もちろん言いませんが・・・) シャッターを押してから数秒で写真が取り出せ、数十秒経つと画像が現れます。画面サイズは約6×10センチ(右の写真)

20年以上昔にも同社で同じコンセプトの製品があったと記憶しますが、カメラから写真が顔を出すまでが延々と長く、たとえば数人で記念撮影して皆に配る、などという事は出来そうにない代物でした。技術は進歩するものです。

他にも台湾製フィルムスキャナーの新製品があるなど、銀塩関係もまだすこしは生きているようでした。

2025年2月24日月曜日

川村賢一写真展 Once Upon a Time in America

 この数日、半世紀前のフィルムから作った写真展を観る機会が続きましたが、今日はJR三鷹駅近くの「ぎゃらりー由芽のつづき」で川村賢一写真展 Once Upon a Time in America を拝見しました。

お話によると1980年の一か月間、アメリカ東部をグレイハウンドバスで撮り歩いたということです。建築士である作者の視点は構成的でスキがなく、見事です。また街角のスナップショットの一瞬の切り取りが、いかにもこの時代を感じさせるものになっていました。

膨大なフィルムをスキャンして過去の作品をよみがえらせ、こうして展示することも重要になってくると感じた次第です。


2025年2月23日日曜日

慶応大学カメラクラブOB 三人展など

 JCII地下のクラブ25で開催中の写真展にお邪魔しました。出展者のおひとり・伊藤さんが、以前研究会の写真展に来場いただいたご縁です。

他の方はデジタルカメラで撮影しているなか、おひとりだけ銀塩フィルムで撮影し、それをスキャンしてプリントしているそうです。

「街の記憶」をテーマに、表通りからは見えない、ひっそりと佇む風景をとらえています。令和になってから撮られた写真も、懐かしく感じるのがフィルムならではなのでしょう。

片隅には50年前のネガからプリントした作品も少し展示されていましたが、かなりビネガーシンドロームに侵されてしまっているそうです。


半蔵門を辞してから表参道のギャラリーストークスで鈴木孝史先生の展示に伺いました。鈴木先生も半世紀前のネガからプリントしておられましたが、コダックのフィルムは殆どビネガーシンドロームを発症しないとか。

今更わかっても、あとの祭りです・・・



2025年2月5日水曜日

ワイドフィールドエクターの修理

 10年近く前に入手したワイドフィールドエクターは、シャッターが相当くるっていましたが、夕景などで長時間露光が多くだましだまし使っていました。

最近、昼間も!撮ることが増えてきたので、意を決して調整を頼みました。以前は九段下にあったTOYOカメラサービスですが、最近移転されたようです。

宅配便で送って待つことしばし、調整が出来てきました。これで安心して撮影できます!

調整前は相当狂っていました。とくに1/2秒や1秒はバルブになるありさまでした。 内部は相当さびていたそうです。
もともとシャッターレバー先端の小さな指あてが欠損していたのですが、戻ってみるとちゃんとついていました! 感謝!


2024年12月14日土曜日

建て物写真展

 JCIIクラブ25で開催の第20回「建て物写真展」に、閉館間際にお邪魔しました。

国宝や現代の作品など国内外のさまざまな建築物を、どれもストレートにとらえた作品です。建築をテーマに20年も続いているという、グループの息の長さも驚きです。

建物を記録する面白さは、形への興味にとどまらず、時間の経過にも目が向けられることでしょうか。
古代ローマのパンテオンは、最古のコンクリート建築だそうで、現代のコンクリートがせいぜい百年程度の寿命なのに対し、2000年を経ても強度を保っているそうです。そんな蘊蓄をききながら写真を見ると、いちだんと興味が増します。




以前会員だったK氏は、4×5からスキャンした巨大プリントなどを展示しています。



2024年11月27日水曜日

髭おやじとゆかいな仲間たち

 ギャラリーストークスで開催中の写真展にお邪魔すると、そこは路面電車の線路になっていました!

さすが日芸写真学科卒業生の鉄道愛好会写真展だけあって、写真だけでなく展示も凝っています。


髭おやじ先生も楽しそう。模型を見て誰もが童心にかえっています。

お話をしていると、髭おやじ先生も私も、玉電最後の日に写真を撮りに出かけていました。子供のころからニアミスしていたのかもしれません。

2024年11月26日火曜日

泉大悟写真展 GELATIN SILVER

 11月23日、池尻大橋のモノクロームギャラリーレインで開催中の写真展にお邪魔しました。

泉大悟氏の展示を拝見するのは2回目です。(前回は2020年でした) 今回はガラスの器など、室内と思われる情景も多くなっています。

いわゆる「静物写真」が多いので、スタジオで撮ったものかとお聞きしたら、自分で被写体を構成したのではなく「見つけたもの」だ、というご返事でした。
改めて拝見すると、モノから「撮ってください」と呼びかけられているようにも思えます。モノの気配を感じるのでしょうか。その感性による静謐な表現が魅力です。

前回はハマースホイを連想しましたが、モランディにも通じるものを感じました。

帰り道、駒場東大前駅まで歩くと「駒場祭」にあわせて急行も臨時停車するなどごった返しています。お気に入りのパン屋さんに寄ろうかとも考えていましたが、ついさきごろ「アド街ック天国」で紹介されたこともあり、諦めました。

2024年11月25日月曜日

ゼラチンシルバー乾板ワークショップ

東京のアトリエ シャテーニュ( http://atelier-chataigne.org/ )で開催された、ゼラチンシルバー乾板ワークショップに参加しました。

乾板作成の座学、ガラスの下処理、乳剤作成(デモ)、乳剤塗布・乾燥、撮影(4x5)、現像といった一通りの工程を学ぶ濃厚なワークショップでした。

他の方は貸し出しのホルダーを使いましたが、私は3Dプリンタを持っているのでインターネットに公開されている湿板用ホルダーの3Dモデル(一部私が設計した追加部品あり)を印刷・組み立てして撮影に望みました。3Dプリンタ製のホルダーがきちんと機能することを確認できました。3Dプリンタ製のホルダーの情報の情報は以下のweb(英語)を参照してください。

https://www.thingiverse.com/thing:6845540

★ワークショップの内容については12/2以降に追記します★


2024年11月20日水曜日

SAMURAI FOTO と Shibuya Photo Archive 2024

 かなり傾向の異なる二つの写真展を観てきました。

SAMURAI FOTO 写真展 Transcendence / 超越

六本木ストライプスペースの展示は、デボラ・クロチコさんのキュレーションによるものだそうです。サンディエゴ写真美術館館長(当時)の同氏が2012年に来日してレクチャーをした折、中島代表が研究会の「ポートフォリオ1」を寄贈したというご縁もあるので興味を惹かれました。(詳細は会報53号の記事)

グループ展というよりは15名の個展の集合体というべきでしょう。それぞれの作品には詳細なステートメントが書かれたパンフレットが置かれ、作者の狙い、思いなどがつづられています。作品の表現や形態も多種多様です。

以前からたびたび拝見してきた千代田路子さんの作品は、被写体から受けた印象を再構成したというより、ご自分の思いを被写体に託して編集したというべきかもしれません。(今回はお会いできず残念でした)

会場で詳しく説明していただいた村田光司氏の作品は、仏教の世界観を日本画のように表現したものでした。

海外での販売、収蔵してもらえる作品創りを目指す志の高さと真剣さを感じる展示です。


これとは対照的に思える展示が ヒカリエで開催の Shibuya Photo Archive

1947生まれの作者が遺した数千本という膨大なネガから選ばれた、1960年代から80年代の渋谷の街頭風景が展示されています。団塊世代には懐かしい渋谷の風景を、若い人たちも興味深そうに眺めています。

大学のカメラクラブ員だったという作者がどのような狙いで撮影したのかは説明もありませんが(没後にネガが見つかったのだそうです)、撮影者の意図とは関係なく多くの人に伝わる写真もあるものだと改めて感じました。そして、その記録を発掘して後世に残す努力も貴重です。

これだけ膨大な写真があれば、半世紀前の風景をバーチャルに再構成して体験できないものか、そんなこともぼんやり考えながら眺めていました。





2024年11月14日木曜日

ステレオ&パノラマカメラの歴史展

 日本カメラ博物館で開催中の展示を観てきました。

立体写真は写真の誕生と同時といってよいほど古くから試みられてきたようです。現代でも何年かおきにブームとなりますが、いつの間にかフェードアウトするのが運命かもしれません。

で、私が興味を持ったのはパノラマ写真の最初期に現れた「サットン パノラミックカメラ」です。まだロールフィルムのない時代、湾曲させた感光材(湿板だそうです)を使う斬新な構造でしたが、その材料が謎でした。撮影時には湾曲させた感光材料も、プリントする時には平面にする必要がありそうです。東京都写真美術館の文献によればマイカ(雲母)を使ったという推測があるのですが、詳しくはわかっていないようです。

博物館にはカメラの実物が展示してあり、意外と小さいのにすこし驚きました。しかし感光材料の説明はないので、その点がすこし物足りなく感じた次第です。

いずれ私達もまた、感光材料を自作する必要に迫られるかもしれませんね・・・



2024年11月8日金曜日

秋の写真展いろいろ

 研究会の写真展も会期半ばとなりますが、季節柄あちらこちらで展覧会が開かれています。

秋の国展

まず上野の東京都美術館で11月8日まで開催の国展。いつもながら膨大な量とバリエーションです。それぞれの作者が作品に込めた思いに想像をめぐらすのも楽しみです。


このところ急に気温が下がり、西洋美術館前の銀杏も色づいてきました。良い考えが浮かぶでしょうか?


神保町の竹尾 見本帖本店
「紙の光 光のしるし」という展示へ。数人の作家の写真が様々な風合いの紙に印刷して展示してあり、その中の数点がポートフォリオ風の作品集として置いてあります。
画像データとして眺めただけではわからない、紙の質感を確かめることが出来ます。以前このブログで紹介された山元彩香さんの作品もあります。











神保町からテクテク歩き、ギャラリーバウハウスの小瀧達郎写真展「鎌倉1975-80」
とくにポートレートが際立って印象的です。まっすぐにこちらを見つめる少女や、微笑んでいる子供たちは牛腸の作品もほうふつとさせます。スタッフのお話によると50年近く昔に撮られた作品は、大部分が今年プリントされたそうで、その丁寧なプリントによって時代を感じさせないすばらしいものでした。


日も傾きだしたころ渋谷駅を通ると、かつての南口あたりの建物が轟音と共に解体されています。歩道橋では多くの人が眺めたり写真を撮っていました。











2024年11月4日月曜日

2024年写真展の準備完了


 ゾーンシステム研究会のメインイベントである写真展の展示作業を11月4日に行いました。

三連休最終日の午後、ギャラリーE&Mに集まった有志が協力して作業を行います。

まずは中島代表のプランに従ってフレームを並べて検討。
配列が決まったら、壁に木ねじをねじ込みます。
高さ決めは、レーザーレベラーを使って正確に行えます。





最後はスポットライトを調整し、作品のキャプションを貼り付けて完了。












いよいよ11月6日が初日です。


2024年10月30日水曜日

渋谷のハロウィン


 明日がハロウィンという10月30日、スクランブル交差点を見下ろすあたりには目隠しが貼ってあります。

何年か前にみたときは、もっと上の方まで貼ってあったのですが、明日にはもっと厳重になるのでしょうか? このときはまだコロナ騒ぎの前でしたが、インバウンドは今ほど話題になっていなかったと記憶しています。騒ぎがひどくならなければよいのですが・・・

2024年10月24日木曜日

内藤明写真展 moment

 ギャラリーE&Mの内藤明写真展 moment にお邪魔しました。
例年おなじギャラリーで開催しておられますが(昨年の様子はこちら)この一年間で新たに創られた作品ばかりとのことで、そのエネルギーに感服します。


強烈なパースと、闇から浮かぶ光がまぶしく感じられます。紙の白さが強烈な光に思えることが、白黒写真のだいご味でしょうか。

東京8×10組合連合会写真展

 このところ東陽町で開催するのが恒例となった東京8×10組合連合会写真展にお邪魔しました。会場は江東区文化センターで、広々とした開放的な空間です。お隣ではコーラスのリハーサル?があり、ときどき妙なる歌声が聞こえてきます。

展示作品はバラエティーに富んでおり、オーソドックスな銀塩写真からサイアノタイプ、実験的なものまで様々ですが、なにより女性や初心の方の出展が多いのに感心します。8×10で初めて撮ったという作品や、まだ二年目だという方など、大判写真の世界に踏み込む方が多いのには勇気づけられます。



田村写真の田村さんとお話をしていると、フィルムの値段は最近高騰しているというが、何十年も昔と比較してそれほど変わっていないのではないか、という見解でした。ラーメン一杯とフィルム一本の値段は、時代が変わってもほぼ同じというお見立てでした。

8×10を初めて二年目という吉田さんは、イントレピッドという軽量のカメラでばりばりと撮影しておられます。

何より皆さんが楽しんでおられる様子が感じられ、私ももっと撮影しなければ、と反省させられました。


2024年9月28日土曜日

中古カメラ店

 ご近所の商業ビルに中古カメラ店がオープンするという情報があり、土曜日にプラプラと出かけてみました。

小さい店かと思っていたら、結構広いフロアを使っています。まだプレオープンで販売はしていないのですが、ざっと眺めると当然ながら35ミリ一眼が多いようです。中にはヤシカやリコーの2眼レフもちらほら。ペンタックス67なども少しはありました。

しばらくして本格的に?営業が始まったらまた覗いてみたいと思いました。

ちなみに同じフロアにはLPレコード専門店もあり、けっこうアナログな世界が持ち直してきたようです。

2024年9月26日木曜日

フォトグラフィック アート アジア 2024

 今年も半蔵門のJCIIクラブ25でフォトグラフィック アート アジアの展示が始まりました。(去年の様子

例年通り、数名のアーティストが色々な技法でご自分の作品を発表しています。ソルトプリント、ゼラチンシルバープリントなどもありますが、インクジェットプリントが大勢のようです。


今年はざっと見まわして人物写真がないようです。静謐な風景や静物などが多く、技法の多様さにも拘わらず、印象には統一感があります。

そのなかでも少し傾向の異なるのが、宝槻さんの作品でしょうか。渋谷曼荼羅と題した、街頭風景を9×9マスに並べた作品です。自分にとっても懐かしいシブヤが並んでいて楽しめました。