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2013年12月16日月曜日

牡蠣くん

研究会の忘年会で、会員のKさん(会員には沢山のKさんがいます)から、岩手の牡蠣燻製オリーブオイル漬けを紹介されました。 
これが本当に美味で、ワインのおともにぴったりです。 一瓶2500円と高価ではありますが、震災復興支援の意味も込めて注文したくなりました。

写真

北代省三 かたちとシミュレーション


川崎の生田緑地にある岡本太郎美術館で、写真家 北代省三の「かたちとシミュレーション」と題する展覧会が開かれています。 (来年1月13日まで http://www.taromuseum.jp/exhibition/current.html

1950年代に「実験工房」に参加し、実験的な写真を多く撮った作家ですが、「写真家」という枠に収まらない活動をした人です。
同じ美術館で「北代省三と実験工房」展を観たのはちょうど10年前、そのとき以来2度目の訪問でした。

写真という機械のビジョンをどう使うか、どんな表現が出来るのか、写真の教科書をみるまでもなく、たいていのことはすでに先人が格闘し、実験してきたことで、今我々のやっていることはそのバリエーションに過ぎないと痛感させられます。

一方、模型飛行機を作り、ラジコンから撮影するなど、本当に楽しんで仕事をしていたことがよくわかります。 この辺は大辻清司たちと共通の性向なのでしょう。
最近、実験工房をテーマにした展示やCDの発売などが目につきますが、アーティストがクラフトマンであった頃の手仕事の良さが感じさせるノスタルジーもその要因にあるような気がします。

2013年12月8日日曜日

ネガの熟成

「植田正治のつくりかた」では、作品のわきに添えられた植田の言葉も楽しめます。
中に「ネガの熟成」と題するコメントがありました。 ネガを現像してもすぐにプリントせず、撮影時の感動や思い込みが消えてからプリントを制作するというものです。 自分の作品を客観視することの重要性を再認識しました。
また、プリントを作るのに三日かける(最初のワークプリントをみて一日目はがっかりし、二日目にプランを練り直し、三日目で完成)というのも共感させられます。

2013年12月7日土曜日

ブログで紹介のあったクーデルカ展行きました

 先日、ブログで紹介のあった近美のクーデルカ展行ってきました。
大変感動しました。

 数年前の写真美術館ではプラハの春のシリーズしか出てなく、しかもデジタルプリントでした。
今回は銀塩プリントで大変見ごたえがありました。デジタルと銀塩、写っているものがわかればどちらでも良いという人もいますが、銀塩プリントの魅力を一度知ってしまうとこれは麻薬のようなもので、やはり心ときめいてしまいます。

 クーデルカを知ったのは、18年くらい前、川崎ミュージアムでゾーンシステム講座を受けた際貼ってあったポスターを見て学芸員の方に写真家の名前を聞いたときです。
ジプシーのシリーズが好きでしたが、今回は全ての作品を見ることができました。ドキュメンタリーの作家だとばかり思っていたのですが、元々は飛行機のエンジニアをやりながら舞台写真を撮っていたアート系写真家だったようです。最近のパノラマ作品も大変すばらしかったです。

 常々オリジナルプリントを手に入れたいと思っていたのですが、日本ではあまり購入できる機会が無く、未だにコレクションできてない状況です。ただ、今後機会があったとしてもこのユーロ高ではきついです。(昨年まではドルやユーロが安かったので海外作家のコレクションが非常に楽でした。)

 
 ファインプリント系の作家ではありませんが、表現方法など大変参考になります。みなさんもぜひ一度足を運ばれていかがでしょうか。

2013年12月4日水曜日

D76入手難?

D76を買うために通勤途中の渋谷ビックカメラに立ち寄ったのですが、コダックの薬品がすっかり店頭から消えていました。
それではと、自宅から歩いてヨドバシ吉祥寺に行ってみても在庫なし。(X-TOLはありましたが)

段々不安になり、頼みの綱のヨドバシ新宿に足を伸ばしてやっと入手できました。
定番中の定番が入手しづらくなると、ここまできたかとやはり不安です。 最悪は自分で調合することになるのでしょうか。

カメラ館でエレベータに乗り、ドアを閉めようとすると「乗りま~す!」と若い女性が走ってきました。
暗室用品売り場の6階ボタンを押して待つことしばし、ご婦人も同じフロアで降り、印画紙などを買い求めていました。 すこしほっとする光景です。

2013年12月1日日曜日

森山大道展

吉祥寺美術館で「森山大道  モノクローム」展が開かれています。(12月27日まで)

http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/

2012年撮影の新作が中心ですが、過去の自作品の再引用ともいえそうな既視感の漂う展示でした。

 森山の個展は1970年の「スキャンダル」以来それほど多く観たわけではありませんが、アレ・ブレが衝撃的だった当時ではなく、今の時代を告発する新たな方法は何なのか考えさせられます。

 日曜の午前、さぞ混雑しているかと思いきや、何かの間違いで入ってきたような観客がぱらぱら状態でした。

入場料は100円!(他の美術展とは一桁違います) ただし図録は4800円もするのでパス!
ミュージアムショップには、なぜか作品をプリントした南部せんべいがあります。 どんな味がするやら...


常設の版画(浜口陽三)だけでも観る価値はあります。

2013年11月30日土曜日

口だけ撮影

快晴の一日、立川の昭和記念公園にいきました。
紅葉の盛りは過ぎていましたが、自衛隊に隣接した人通りの少ない道で4×5撮影していると、お散歩中のご夫婦に声をかけられました。 大判カメラに詳しい方で、以前ホースマンの営業をされていたのだそうです。 ご自身では写真を撮らず、専ら「口だけで撮影」するとおっしゃっていました。  しばらくは大判カメラの話題で盛り上がりました。
蛇腹のカメラで店開きしていると、色々な出会いがあるものです。

2013年11月26日火曜日

名画座

 地元のフィルムコミッションが主催する映画祭で「一日だけの名画座復活」と銘打った二本立てを観ました。  本物の映画館ではなく、自治体施設の会議室なので、液晶プロジェクターによるデジタル上映だろうと想像していたところ、なんと35mmフィルムを投影する「本格的な」ものでした。 小型とはいえ、35mm映写機が動いているのを間近に観るのは初めてです。 ロビーでは終わったフィルムを巻き戻しているなど、映画と同じくらい舞台裏も興味深く観ることができました。
一巻の終わり近くに出るパンチと、それに続くリールの交換などはデジタルにはない懐かしいものです。

  で、観た映画は「サクリファイス」と「勝手にしやがれ」の二本立て。  難解さと長大さが予想されたタルコフスキーの遺作は、事前にインターネットであらすじ等を予習したにもかかわらず、「???」をいっぱいお土産に帰ることになりました。

2013年11月21日木曜日

クーデルカ展

竹橋の近代美術館でクーデルカ展を見ました。 (来年1月13日まで)
http://www.momat.go.jp/Honkan/koudelka2013

プラハの春で有名なこの写真家の、ジャーナリスティックな面しか知りませんでしたが、この回顧展で認識が一変しました。

極めて象徴的に、シンメトリーな画面構成を意識しています。 それは犠牲者の追悼デモ、ジプシーの人々、葬儀、立小便をする男たちにまで及んでいます。

しかし何より打たれたのは、カオスと題された最近のパノラマシリーズで、解説にもあるように「破壊を恐れつつ魅了されもする人間の性向を露わにして」います。
この夏に観たグルスキーが作り物の極地とすれば、クーデルカは現実の世界の中に予兆を感じ取る一方の極でしょう。 どちらも巨大なプリントを前にした時の神秘的な印象は圧倒的です。
(上階の常設展にはグルスキーの初期作品もありました。)

今年は必見の写真展に恵まれているようです。

2013年11月11日月曜日

現代のドライシューティング

プレヴィジュアライズの練習としてアダムスが提唱している方法に「ドライシューティング」があるそうです。 (「あるそうです」というのは、この言葉を最近知ったからです)

http://www.grahamclarkphoto.com/how-to-pre-visualize-a-photograph-like-ansel-adams/

アダムス自身"shoot"という言葉を好まなかったとも聞いているので、少し違和感はありますが...


現代ではコンパクトデジカメ(スマホでもよいでしょうが)を常に携帯し、撮りたい場面にであったらすぐに撮影してみることがプレヴィジュアライズの効果的な練習方法でしょうか。

以前、会員のKさんがデジカメの音声メモを利用し、撮影したときのゾーンの位置づけなどを記録しておられたのですが、最近の機種にはこの機能がなくなっているようです。
 工夫次第で、最新の道具の使い道はいろいろ開拓できそうですね。

2013年11月9日土曜日

写真展パーティ

11月9日、写真展会期の中日ですが、オープニングパーティーを行いました。
たくさんのお客様と楽しいひと時を過ごすことができました。
お世話になったコスモスの新山社長はじめ、皆様にお礼を申し上げます。
 
 
写真
 

2013年11月4日月曜日

写真展 いよいよ11月5日から

11月4日、メンバーが集まり展示作業を行いました。
いよいよ明日からが本番の展示です。 多くの方のご来場をお待ちしています。
9日(土)にはパーティを行います。 会員以外の方は無料(持ち込み歓迎!)ですので、こちらにもぜひお越しください。

http://gallerycosmos.com/main/?p=612







2013年10月24日木曜日

脳の中の天使

「人間はなぜ美を感じるのか?」と、帯にあるこの本をようやく読み終えました。
(V.S.ラマチャンドラン著 山下篤子訳 角川書店)
最近の脳神経科学の様々な所見から、人間の自己とは何かについて考察した大著です。

冒頭の問いにストレートな回答が用意されている訳ではありませんが、私が以前から疑問に思っていた「カラー写真より白黒が美しく感じることがあるのはなぜだろうか?」ということには重要なヒントがありました。 本書によれば「スケッチの方がフルカラー写真より効果的なのは、脳に注意のボトルネックがあるからかもしれない」(313ページ)ということです。

省略や強調が大切なことは今更言うまでもないことですが、それらの経験則に科学的な実証の光が当てられつつあることに、大きな期待と若干の不安を感じました。

2013年10月20日日曜日

半切印画紙

半切(14×17)のイーグルVCFBを買おうとヨドバシへ行ったところ、なんと次回入荷は来年1月との表示! 目前の写真展に使おうと思っていたので焦りました。 18×22は店頭にあり、大は小をかねるのでやむを得ず購入。(値段は倍近くします)

帰ってからサイバーグラフィックのWebを見ると両方とも在庫切れの表示でした。
バライタの半切はほとんど選択の余地が無いので、土壇場の在庫切れは本当に困ります。
まあ、発売中止にならないだけありがたいと思わなければならないようですが...

2013年10月14日月曜日

恵比寿から六本木

写真美術館で開催中の「コスモス 写された自然の形象」「須田一政 凪の片」、六本木AXISの「ゼラチンシルバ―セッション」をめぐってきました。 どれも一見に値する展示です。


「写された自然の形象」は、コレクション展三部作の最後を飾るもので、自然を形成するといわれていた元素「木火土金水」によるテーマわけがなされています。

「木」のなかでは石元泰博の桂離宮が、「金」では篠山紀信の「スパナ」がとりわけ印象に残りました。

桂離宮の写真は厳格な構図のなかに心地よいリズムがあり、何回見ても飽きることがありません。 最近やっと「石元泰博 写真という思考」を読み終えたのですが「オコリンボー」と恐れられたという写真家の気迫が伝わってくるようです。

「スパナ」は、たしかカメラ毎日に連載された仮想広告写真シリーズの一点でした。 人気のないビル街の道路に置かれたモンキーレンチが超広角で捉えられています。 とくに作者の代表作というわけではないのでしょうが、そのギラリとした存在感が独特です。はるか昔に観たことが記憶のそこからよみがえってきました。

二階に降り「凪の片」に入ると、まず風姿花伝に圧倒されます。 スクエアサイズに極めてシャープに切り取られた祭りの人々の存在感は、ダイアン・アーバスにもみられる、どこか別の世界のもののようです。 見慣れたものを未知のように描く写真家の視点がすばらしい。

地下鉄で恵比寿から六本木に移動。
アクシスの四階で今年もゼラチンシルバーセッションの展示が開かれています。 以前に比べて、より銀塩写真らしい作品が多くなったようで楽しめました。 会場にはハーフサイズから20×24!という超大判までの白黒ネガが展示してありますが、これを見ると8×10などは小さいものだと感じてしまいます。
20日まで。
https://www.facebook.com/GelatinSilverSession

2013年10月13日日曜日

東京8x10写真展

12日の例会が終わったあと、有志数人で東京8x10写真展を訪れました。 例年の麻布から目黒の区民ギャラリーに会場が変わり、広々としたモダンな展示になっています。スポットライトもLEDになり、ハロゲンランプで苦労した色むらが解消したということでした。 (14日まで) http://tokyo8x10.org/

ゼラチンシルバープリント大伸ばしという正統派から、ピンホール写真、湿版写真、16×20ネガを使ったプラチナプリント、液晶パネル用のカラーフィルターを白黒フィルムに密着して撮影した現代版オートクローム等等、皆さんがこだわりの技術を追求した結果を発表しており、さながら写真技法の博覧会という様相を呈しています。
特に湿版写真は、数年前に比較すると表現の内容を追求できるレベルにまで進化してきたようです。
それぞれの技術の特徴や撮影の苦労話などを伺っていると、あっという間に時間がたってしまいました。 「どっこいフィルムも生きてる」という希望がもてる展示でした。

2013年9月26日木曜日

西麻布のギャラリー

新国立美術館に彫刻を見に行くついでにちょっと気になっていた写真展を見てきました。

ギャラリー イー ・ エムで「藤本賢一氏」のモノクロ銀塩プリントの写真展
ゾーンⅢあたりの黒が美しく、やわらかで心安らぐ作品でした。

2013年9月25日水曜日

タコメソッド

シートフィルム現像にこんな方法が紹介されています。

輪ゴムでフィルムを丸め、現像タンクに入れるという簡単な方法。
タコメソッドという立派な?名前がついていて、広く行われているようです。

http://www.flickr.com/photos/digi-film/sets/72157627864733730/
http://photo-reactive.blogspot.jp/2011/07/taco-method.html


どなたかチャレンジしてみますか?
結果がでたら、ここで紹介していただけるとありがたいです。

2013年9月23日月曜日

武蔵小金井

会員のKさんが会長を務めている写真クラブの展示にお邪魔しました。

中央線の武蔵小金井駅前にあ市民交流センターの地下にギャラリーがあるのですが、とてもおしゃれできれいなスペースです。
 


今年が36回目の写真展ということで、皆さんベテランぞろいです。 テーマ展示(寺社教会など)と、自由作品にコーナーを別けてありますが、テーマ作品が2/3以上でしょうか。皆さんが楽しんで写真を撮っている様子がよくわかりました。

ところで、先日も別の写真展で気付いたことですが、デジタルとフィルムの写真が隣り合って展示されていると、デジタルはとてもシャープなのに立体感が乏しく感じられることがあります。 昨今のデジタル一眼は、35mm判フィルムの解像度を上回っているようですが、どこか塗り絵のような印象を受ける場合があります。 うまくは言い表せないのですが、エッジ強調が原因のひとつなのでしょうか。

2013年9月6日金曜日

銀座ニコンサロン 

銀座ニコンサロンで知り合いの写真展が開催されます。
カラーですが、なかなかコンセプトが面白そうなので、ぜひお越しください。

松浦 恵介写真展

縄文ニュータウン
9/25 (水) ~10/8 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
初日18:30~パーティーなのでこちらもぜひお越しください。
  http://www.nikon-image.com/activity/salon/exhibition/2013/09_ginza.htm#03

2013年9月1日日曜日

8×10用バックパック

8×10カメラを手に入れてから、その運搬方法で悩んできました。 どちらかというと街中で撮ることが多いので、身軽に動きたいのです。

はじめはホームセンターで見つけた布製の大工道具バッグに入れ、キャリーカートに載せて引きずってみたのですが、平地はともかく階段の上がり降りが一苦労です。 撮影よりも運搬で疲れ果ててしまう有様でした。

会員のK氏が帆布製のリュックサックを使っているのを見て、やはり背負うのが一番と悟りました。 同じリュックはどうやら製造中止らしく見当たりません。 往年のキスリングでもよいのでは、と登山用品店にいくと、「そんなものはとっくにありません!」と哂われました。 横幅の広いものは周囲の邪魔になるので流行らないそうです。 特注で作ってくれる店もあるそうですが、結構値が張るので断念。 昭和は遠くなりにけり。

で、結局はf64ブランドの大型バックパック(BPX)を買うことにしました。

アマゾンの「並行輸入」で2万6千円程度です。 一方アメリカの通販サイトでは日本までの送料込みで200ドル程度ですが、通関費用や税金が別途かかるでしょうから、アマゾンを選んでしまいました。

使ってみると疲れがぜんぜん違い、行動半径がぐっと広がる気がします。 さすが餅は餅屋ですね。 後から知ったのですが、使い方を丁寧に解説しているサイトがありました。 


ジニアス


暗室ワークが終わったあと、神田川沿いに少し歩いてジャズ喫茶「ジニアス」を訪れました。
かつて渋谷の道玄坂小路にあったころはよく行った店です。


コーヒーを飲みながらぼんやりとスピーカーを眺めていると、ご主人から「何か聞きたい曲はありますか?」と訊かれました。 よほど物ほしそうな顔をしていたのかもしれません。
とっさのリクエストは Dear Old Stockholm。 「はい、判りました!」と二つ返事でかけてくれたのはスタン・ゲッツのLP the sound でした。

きけば、スピーカーは渋谷からそのまま移設したということでした。 ここに移ったのは平成元年、もう25年になるそうです。
ちょっとしたタイムトリップでした。

暗室ワーク

研究会の主要イベントのひとつ、暗室ワークを8月31日に行いました。

ふだん自己流の作業に陥りがちな暗室作業は、基本的な手順や作品としての仕上げ方などをつねに体験することが大切で、会員にとって技術の上達を図るまたとないチャンスになっています。
朝9時から午後5時まで、あっという間に時間がたってしまいました。

引伸ばし作業の指導

仕上がりを確認

部分的に露出を変えた小片を重ね、焼き具合を検討する。


2013年8月24日土曜日

シュルレアリスムをめぐる二つの展示

シュルレアリスムをめぐる二つの展示を観ました。 どちらも会期末近くの駆け込みです。


鎌倉の近代美術館別館の野中ユリ展は、コラージュやデカルコマニーというシュルレアリスムでお馴染みの技法を駆使した素晴らしい展示です。

「青と黄のデカルコマニー」のシリーズは、未知の惑星に浮かぶ生命体のような、不思議な魅力に満ちています。

実のところ、私はこの作家について殆ど何も知らなかったのですが、一枚のコラージュの前で足が止まりました。 「シュルレアリスト群像」は、学生時代に買ったまま読み切れずにいる「シュールレアリスムの歴史」の表紙原画だったのです。
 懐かしさにしばらく行きつ戻りつしていると、静かな会場でご夫人同士の会話が耳に入ってきました。 「写真がゲージュツになるとは知らなかったワ・・・。」

作者の言葉には「夢の中の物質感は独特だが、作品を作り人に見てもらう形にするためには現実の物質を使うしかない。 アートの力で現実の物質を幻化窯変させなければならない。」とありましたが、様々な材料を組み合わせた夢を堪能することができました。

で、次は新宿の東郷青児美術館で「遊ぶシュルレアリスム展」

とても静かだった鎌倉とは対照的に、子供達が騒ぐのが気になりました。ブルトンたちも、90年後の異国で子供たちの「お遊び道具」にされるとは想像もしなかったことでしょう。
なぜかダリやキリコといった看板作品の前は比較的すいていてゆっくり観ることができました。

デカルコマニーの元祖ドミンゲスや、その周囲を観ると、先ほどの野中ユリとはその表現が随分と違います。 不定形のパターンを利用して何かのイメージを立ち上げようとしているのに対し、野中は純粋にパターンの面白さを追求しているようでした。

岡上淑子のコラージュも独特で、これらの分野では戦後の日本女流アーティストが世界の先端をいく作品を作っていたことを再認識しました。

観終わって窓の外を見ると怪しい雲がたれこめています。  急いで帰ることにしましょう。



2013年8月14日水曜日

ムサビのデザイン

写真とは直接関係ありませんが、小平の武蔵野美術大学で開かれている「ムサビのデザイン」展に行きました。



オリベッティとブラウンという、かつて(といっていいでしょう)デザインポリシーで一世を風靡した企業のプロダクトデザインを展示しています。
日本の家電はどのメーカーを見ても区別がつかないほど似た製品ばかりですが、この二社の製品には明確な主張と存在感があります。
イタリアの明るさと明快さ、そしてドイツの生真面目さと厳格さといえばよいでしょうか。

メーカーとしてのオリベッティはすでに役割を終え、最近のブラウンはひげそりと電動歯ブラシの会社になってしまったようです。 良質なプロダクトデザインを追及するには、IT分野の進歩や変遷があまりにも早すぎるのでしょうか。 いま、彼らの正当な後継者はアップルが担っているとも思えますが、これもいつまで続くことか。

形を変えた良き時代の「昭和レトロ」を観た気分でした。

2013年8月13日火曜日

写真作品のつくりかた

相変わらずの猛暑が続く中、写真美術館に行きました。

「写真作品のつくりかた」

「アングル」「焦点」「光のあつかい」「暗室作業」といった章立てで、白黒写真を主におなじみの作品が並んでいます。(9月16日まで)
カラー作品より白黒が、光を意識させることが再認識させられます。
カーシュの撮ったチャーチルやウォーホルのポートレートは見ごたえがあります。
またキャラハンの繊細な多重露光もオリジナルで見るとその美しさが際立ちました。
ゼラチンシルバープリントの歴史の深さ、表現の多様さ、そして美しさがよくわかる展示です。

階下の米田知子展には何の予備知識もなく入りました。
場所の持つ意味を問いかける作品ですが、台湾の日本家屋などはあたかも桂離宮のような佇まいで撮られています。 大きなカラープリントをつかみにもってくるなど、今風の展示でしょう。



恵比寿駅のスタバは表の席が殆どで、汗をたらしながら書く羽目になりました。
昨日のような大雨にならないうちに引き上げることにします。


2013年7月25日木曜日

軽井沢の滝

なかなか作品のできない私は早起きして(0時)
軽井沢へ滝の撮影に行ってきました。
長靴でかなり近くまで寄ることができます。

2013年7月21日日曜日

オリトーン純黒情報

サイバーグラフィックスに聞いたところ、これはオリトーン純黒調のニュータイプで型番が異なるそうで、黒の締まりを良くしたものだそうです。(それで値段が上がったのかも)

2013年7月16日火曜日

オリトーン現像液


会員Kさんからの情報です:

たまたまヨドバシに行った際、オリトーン純黒調が大量に売られているのを見つけました。
5リッター用、1029円でした。

オリトーン冷黒調は、製造中止の由、店員に確認しました。

2013年7月7日日曜日

グルスキー展

猛暑のなか、六本木の国立新美術館でアンドレアス・グルスキー展を観ました。


以前から気になっていた作家ですが、これだけまとまって観るのは初めてです。
巨大なプリントに目を奪われます。 ポスターにもあるカミオカンデの写真を見つめていると目が寄ってきてくらくらします。
どうやってデジタル合成をしているのか、相当高度なテクニックを駆使しているようです。 視点を移動しながら合成しているようにも思われますが、あとで図録をよく読んでみましょう。
ゾーンシステムとは、考え方で対極にあるような写真、まさに魔術のようでした。 ベッヒャーの正当な後継者なのでしょうか。
美術館に近いスタバに避難してこれを書いています。 無料でWiFiをつなげるので、つい入ってしまいますね。

2013年7月2日火曜日

ACROS100の現像に、Tmaxデベロッパーを使うのは、禁忌なんですか?

 「エボニー45S」が出来上がり、早速、撮影とフィルム現像に取り掛かるべく、フィルムを買いに行くと、有効期限2014年11月のネオパンACROS100が1箱1000円なので、2箱購入。敷地が広いわりには人気のない東京農工大農学部に出かけて、とりあえず、実効感度はISO80と仮定し、12枚撮影したのです。

 そして今日、コンピプランを用い、Tmaxデベロッパーでフィルムを現像しました(現像液注入に30秒近く掛かりそうなので、とりあえず、1:9希釈で21℃、8分としました)。

 停止・定着・水洗・乾燥を経て、ネガを見ると、なんとなく、うまくいったという感触ですが、ふと、
ACROSの裏書きに目をやると、「TmaxRSデベロッパー」の現像時間しか記載されていません。さらに「http://wwwjp.kodak.com/JP/plugins/acrobat/ja/professional/products/films/TSC0433-T-MAX.pdf」では、「T-MAXデベロッパーでロールサイズのコダックプロフェッショナルT-MAXフィルムや他の殆どの連続階調白黒フィルムの処理ができます。このデベロッパーをシートフィルムの処理には使用しないで下さい」と記載されています。

 これって、 ACROS100のシートフィルムをTmaxデベロッパーで現像することは、禁忌とされているという意味なのでしょうか? シートフィルムには、TmaxRSデベロッパーを使わねばならない、ということなのでしょうか? どなたかご教示ください。

 (Tmaxデベロッパーは、「ハッセルブラッド+TriX400」用に3本ほどストックがあったので、軽い気持ちでACROS100シートフィルムにも使ってみただけです。)

 「実効感度ISO80」は、知合いのエボニー45Sユーザーからの借用です(なんら根拠はありません、暫定的な処置です)。
 「1:9希釈で現像時間21℃、8分」も、「http://filmdev.org/recipe/show/6628」から推算しただけで、なんら根拠はありません。こちらも暫定的な処置です。

2013年6月27日木曜日

ベローズファクター、相反則不軌について、

懇切な説明、ありがとうございます。「なぜ、補正が必要か」について、おおよそのことが理解できました。しかし、言語的理解が実践応用に直結するかどうか心許ない次第です。でも、言語的理解なしでは、実践など及びもつかないわけですから、これでまた一つ、大判カメラを使うに当たってのパースペクティブが、確実に広がりました。

2013年6月24日月曜日

ベローズファクターなど・・・

接写などの場合に便利な一覧表を作り、撮影の際に手帳にはさんで使っています。

簡単に解説すると、

Bellows Factor 接写などで考慮する露出倍数

たとえば拡大率が1、つまり等倍撮影の場合は有効な絞り値がレンズの目盛りの2倍になるため、露出時間は4倍にする必要があります。 レンズの焦点距離には関係なく、被写体の実際の大きさと、ピントグラス上の像の大きさの比率だけできまります。

Reciprocity Effect 相反則不軌

シャッター速度が極端に長い場合は、露出計が示す値を補正する必要があります。
(短い場合も該当しますが、大判カメラの場合はほとんど関係ありません)

補正の度合いはフィルムの銘柄によって異なるため、メーカーのデータシートを探して適宜転記しました。
たとえば、イルフォードHP5+では、露出計の指示が10秒の場合、実際には30秒露出する必要があります。 接写に限らず、露出時間を長くする場合には考慮が必要です。

接写の場合は蛇腹が伸び、さらに露出時間も長くなるので、上の二つを同時に考慮する必要があります。
たとえば等倍撮影の場合、露出計の読みが3秒であれば、ベローズファクターで4倍、すなわち3×4=12秒
使うフィルムがHP5+であれば、さらに約3倍なので36秒に補正します。


ピント合せと絞り

大判カメラには被写界深度目盛りがありません。 そのため、深度に入れるためには次のようにします。
被写体のなかで、ピントを合わせたい最も遠いところと近いところにそれぞれピントを合わせます。そのときの蛇腹の伸び量を計り、表から絞り値を求めます。 フィルムの位置は両者のちょうど中間に置いて撮影します。
フィルムのサイズによって絞り値は異なります。
8×10のフィルムで撮影しても、仮に4×5までトリミングするのなら表の4×5の欄を使います。


2013年6月23日日曜日

天気の悪い日は静物撮影

 梅雨時で天気が安定しないので、部屋の片隅に作った棚のなかのミニスタジオで静物撮影にとりくみました。
照明は棚に吊るした蛍光灯と、最近めっきり出番がなくなってきたスライドプロジェクターという簡易構成。 
あれこれ工夫しているうちに半日はあっという間に過ぎてしまいました。 蒸し暑いので汗だく!

今年の研究会のお題は「食」なので、題材にキノコを選んだのですが、これが巨大な塔のようにみえてきました。 そこで建築模型の梯子を買ってきて組み合わせ、幻想的な建築物のイメージにしています。
4×5でほぼ等倍なので、ピントあわせに苦労します。ローアングルにするため三脚は目いっぱい開脚、被写体を動かしたほうが楽なのですが、そうすると照明が変わってしまいます。 

最大のf64に絞ると露出計の読みは3秒、ベローズファクターが4倍なので12秒、イルフォードHP5+では相反則不軌で実際の露出は30秒になりました。 さて、現像結果はどうなりますか...

2013年6月17日月曜日

ソフィ カル―最後のとき/最初のとき

雨の日曜日、品川の原美術館で「ソフィ カル―最後のとき/最初のとき」を観ました。

 
生まれて初めて海を見る人たちの表情を淡々と写したビデオなど、「判りやすいコンセプト」で、私たちがふだん意識せずにいる「見ること」「見えること」の大切さを再認識させるものです。
つい「自分が最後に撮る写真はどんなものになるだろうか?」などと考えてしまいます。

それにしても9000円超の図録にはたまげて手が出ませんでした。






2013年6月16日日曜日

日光の九輪草

日光のクリンソウが見ごろとの情報を得て、撮影に行ってきました。
休日運行の5時30分のバスで千手が浜へ。
まだしばらくは楽しめそうな花の状態です。

赤沼自然情報センターからバスが出ます。

2013年6月11日火曜日

命がけの写真?

休会中のSさんから、こんな写真家がいるという情報をもらいました。

http://www.mitchdobrowner.com/

ファインアート写真なのですが、鬼気迫るものを感じます。 

ホームページにこんな一節が引用されていました。

"Our job is to record, each in his own way,
this world of light and shadow and time that
will never come again exactly as it is today."
Edward Abbey 1927-1989


今日の光は二度とない、ですね。

2013年6月9日日曜日

フィルム現像

夕方、気温が少し下がってきたので撮影済みのフィルムの現像。
イルフォードHP-5 8×10サイズ 2枚

定着が終わった時点で少しマゼンダ色がベースに残ってしまった。
新しい定着液に浸すと20~30秒できれいに抜けた。
水洗を終え乾燥のためワイヤーに吊るす。

   かねこ

2013年6月2日日曜日

食をテーマに静物撮影会

6月1日(写真の日)は、ゾーンシステム研究会の静物撮影会でした。

9名が参加し、バラエティーにとんだ食材、いや被写体を持ち寄って7時間におよぶ長丁場となりました。




2013年5月19日日曜日

写真のエステ

恵比寿の写真美術館で開催中の「写真のエステ」展は、一見の価値があるコレクション展です。
http://syabi.com/contents/exhibition/index-1868.html

光 反映 表層 喪失感 参照 と、五つのセクションに章立した展示で、アジェ、ウエストン、アダムスというおなじみのプリントも含め 「美しさ」を追求した写真が主題です。

2013年5月18日土曜日

ポータブル4x5カメラ

アメリカの若者たちが4x5カメラの商品化を企画しているようです。
インターネットで資金を集めたり、3Dプリンターでプロトタイプを作ったりと、新しい可能性もありますね。

http://www.kickstarter.com/projects/wanderlust/travelwide-45-camera

2013年5月4日土曜日

ブログのテストです

会員が広く情報を発信するためのブログを作りました。 原則としてだれでも読むことが出来ますので、内容は吟味した上で記入してください。 個人情報の記入はお控えください。 ご不明の点は事務局にお問い合わせください。