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2023年12月26日火曜日

「前衛」写真の精神

 「なんでもないものの変容」とサブタイトルのついた展示を観ました。(松濤美術館 2024年2月4日まで)

アジェや、シュルレアリスムから影響を受けた戦前の前衛写真をはじめとして、戦後の大辻清司、牛腸茂雄などが並んでいます。今年が生誕百年となる大辻と、その教え子である牛腸の作品がメインとなっているようです。

わざわざ「前衛」とカッコに入れたのは、とくに牛腸をそう呼ぶのに違和感があるからでしょうか。

大辻が名付けたという「コンポラ」は「プロヴォーク」と並んで1960~70年代の現象でしたが、「前衛」という戦闘的な言葉とは相いれないように思えます。

「なんでもないもの」を何でもないように表現するのは、意識的に無意識を装うような努力が必要なことなのでしょう。

ぼんやりとそんなことを考えながら美術館を出て、師走の渋谷の街を歩くと、見慣れた街がどんどん変容していく様を目の当たりにします。

2023年12月14日木曜日

第27回写真展 終了

 アイデムフォトギャラリー シリウスで開催した写真展も、12月13日にぶじ終了しました。

今年の展示では、作品のほかW会員が考案した「ビューイングフィルター」を新たに販売して好評でした。

「ビューイングフィルター」は、ゾーンシステムで大切な「ビジュアライズ(撮影するときに、プリントした写真がどのように見えるかをあらかじめ考えること)に便利な道具です。市販品はラッテン#90フィルターを使い、これを透すと実景の色彩が弱められ、白黒プリントに近いイメージで見られるというものです。しかし最近は極めて高価で入手しづらくなっていました。
Wさんの創意工夫で、安価に再現することに成功したのです。

また、昨年同様「ゾーンシステムテキスト」も好評で、用意した20冊は完売しました。

銀塩白黒写真に興味を持つ人がまだまだ健在であると実感できた1週間でした。

2023年12月9日土曜日

井津建郎 祈りのかたち

 小伝馬町 Roonee247ファインアーツで終了間際の写真展を観ました。

題材にふさわしくやわらかいトーンのプラチナプリントで、ブータンの寺や、そこで祈る子供たちを捉えています。

こちらを見つめる子供たちの表情は、日本の原風景といってもよいほど親しみがもてるものばかりでした。写真家の前でしばらく緊張し、撮り終わってからはほっとする様子が想像できるようです。

数年前に観た同じ作者の「Eternal Light」は、ゼラチンシルバープリントの深い階調で描かれた終末の物語でしたが、こちらは暖かい表現で、未来への希望が感じられる展示でした。

2023年11月22日水曜日

小川一眞と写真製版 展

 H会員の情報で、飯田橋から少し歩いたところにある印刷博物館で開催中の「明治のメディア王 小川一眞と写真製版」展を観てきました。

小川一眞(おがわ かずまさ)という明治の写真師は、明治百年記念に発行された「明治の機関車コレクション」という写真集の撮影者、というほどの知識しかありませんでした。しかしこの展示を観て写真印刷にも大きく貢献した人だ、との認識を新たにしました。

写真を複製する技術は、ネガポジによる「焼付け」から「印刷」に移ったことで桁違いの大量生産が出来るようになりましたが、その技術もコロタイプから網目印刷へと発展していきました。小川はその両方の導入に力を注いだそうです。

展示はそうした彼の作品や歴史的な成果が中心で、技術的な内容には少し物足りなさも感じました。ただ、会場の係の人に質問すると、わざわざ担当の方を呼んでいただき、より詳しい説明をしていただけました。

先日観たDNPと今回のTOPPANと、業界の二本柱が写真印刷に関わる展示を行っているのも興味深いところです。


2023年11月12日日曜日

[告知]ゾーンシステム研究会写真展および会場での撮影アクセサリ即売

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光への探求-銀塩写真の魅力-
ゾーンシステム研究会 第27回写真展

2023.12/7〜13
open 10:00〜18:00
最終日は15:00まで
日曜休館

TEL 03-3350-1211

アイデムフォトギャラリー「シリウス」
東京都新宿区新宿1-4-10アイデム本社ビル2F
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私たちは大中判カメラを使い、撮影からフィルム現像、白黒印画紙へのプリントまでの技法としてゾーンシステムを活用し、自然風景 、都市風景、静物などの美を追求しています。

ゾーンシステムを活用した撮影では光を見極めることが大事です。その際に強力な援軍になるのが古くからあるビューイング・フィルター。フレームをのぞくと原色の風景がアンバー色に変わり、色に惑わされず光のバランスを見極めできるようになります。(個人差はありますが・・)

以前は海外メーカーから市販されていたのですが、デジタル化の進展の影響か?見かけなくなって数十年。「ないなら作ってしまえ」精神+令和なテクノロジで伝統的なアクセサリを復活させてみました。
特徴は以下です。特に、3)は既存品にはない自慢ポイントになっています。

1)期限切れ未使用カラーフィルムをリユースしたエコなフィルター
2)水分厳禁なゼラチンフィルター未使用かつプラスチック製フレーム採用により、雨で濡れても乾かせば利用可能。
3)フレームフォーマットを交換可能(4x5,6x6,6x9)

写真会場で自作したビューイング・フィルターを展示・即売する予定です(*)。
是非、お手に取って効果を体感してください。

(*)会場限定価格 1セット1000円(30個限定)
    初心者の方には、同時に即売する「ゾーンシステム テキスト」もオススメします。





大辻清司 「フォトアーカイブの新たな視座」を支えた技術

 厳密にいえば写真展ではないのですが、市谷のDNPプラザで開催中の「大辻清司 「フォトアーカイブの新たな視座」を支えた技術」展を観ました。(12月15日まで)

大辻清司生誕100年を記念した展示は武蔵野美術大学美術館で行われたのですが、プリントが残されていなかった作品をオフセット印刷で新たに「プリント」したそうです。その技術を紹介しています。
オフセット印刷とはいうものの、印刷機で大量に刷るものとは違い、職人技の手作業です。インクも特別なブラックとグレーを使い、さらに表面をコーティングするので光沢感が均一になり、ほとんどゼラチンシルバープリントと区別がつかないレベルです。


刷版(さっぱん)の実物も展示してあります。

この技術を写真集などの印刷に使えないかと質問したところ、そのような予定はなく、仮にできたとしても、とんでもなく高いものになるだろうというお話でした。

また、作品の展示はフレームを使わず、マットに入れたものを壁に固定してありましたが、プリントとオーバーマットの間には低反射のシートが挟んであるそうです。そのシートも高価で、一枚分がン万円もするそうで仰天しました。

2023年11月1日水曜日

立木義浩 肖像/時

 写大ギャラリー「立木義浩 肖像/時」の最終日(11月1日)に飛び込んできました。

とくに1960年代、カメラ毎日などに発表された作品は懐かしいと同時に、今見ても古さを全く感じさせない素晴らしい作品でした。係の方に伺うと、すべて作者の手によるプリントだそうです。

会場の告知によると、本日の終了後に作者本人によるギャラリートークがあるとか。残念でしたが、後ろ髪を引かれる思いで会場を後にしました。

神田川沿いに少し歩いてGeniusでひとやすみ。道玄坂小路にあったころから変わらないスピーカから流れる音が、先ほど観た写真とオーバーラップします。


2023年10月20日金曜日

内藤明写真展 more

 ギャラリーE&M西麻布で 内藤明写真展 more を拝見しました。(11月5日まで)

いつものように?闇の中からひっそりと現れる光が、端正な横位置に統一されて描かれています。昨年から今年にかけての新作ばかりだそうです。

テクニックや機材についてはいろいろとお話を伺うのですが、目の前の光景を、まるでほかの星の景色のようにビジュアライズするその視点は、言葉で聞くより見て感ずるしかないようです。




しばらくお話をしていると、先日のPhotograpic Art Asiaにも出展されていたH氏が来場し、写真談義がつづきました。



2023年9月23日土曜日

野又穣 想像の語彙

 私の好きな画家、野又穣の個展を会期終了間近に観てきました。(東京オペラシティアートギャラリー 2023年9月24日まで)


野又の絵は精密な透視図法で描かれた、図面のような表現が特徴です。現実にはあり得ない不思議な建物が、静謐な空間に佇んでいる風景は何回観ても飽きることがありません。バベルの塔やノアの方舟をモチーフとした作品には圧倒されます。
今回の展示は、すべて撮影自由というのも驚きました。
しかしそれ以上にうれしかったのは、この世界を三次元化した建築模型が展示されていたことです。
野又の絵を初めて観た時、CGでモデル化しその中を歩き回りたいという妄想がふくらんだのですが、こうして実体となったものをみると、改めてその想いが強まりました。




2023年8月9日水曜日

PHOTOGRAPHIC ART ASIA 2023

 九州の西側にいる颱風の影響で、突然雨が降り出すという天候でしたが、半蔵門のJCIIクラブ25で開かれているフォトグラフィック アート アジア 2023 展にお邪魔しました。

会場はいままでの表参道よりすこし小さい印象ですが、かえって参加アーティストの多様な作品が凝縮して観られます。表現の内容や技法は多種多様で、身近な風景のなかで一瞬のきらめきを捉えたもの、広大な風景を緻密に表現したものなど、個性が際立つ展示となっています。写真の技術も多岐にわたっており、サイアノタイプに着色したもの、オイル印画など、ゼラチンシルバープリント以外は何でもある、という印象でした。現代では過去に蓄積された技術の中から、最も自分の表現に適したものを選べるという、かつてない豊かな時代であることを実感します。

土居氏のオイル印画は、一度や二度のお話ではとても理解しきれないプロセスでしたが、スマートフォンで撮影したデータから、やや硬質でエッジが立ったプリントをつくるという興味深い作品でした。


2023年7月19日水曜日

平塚美術館

 平塚美術館*1で「さとびとみやび 失われた理想郷を求めて」展(~9/3)*2 と
「造形作家 玉田多紀 ダンボール物語」展(~9/10)*3 が開催中です。

*1 平塚美術館はJR平塚駅からバスで数分です。小田急の伊勢原,秦野,本厚木からのバスもあるようです。(平塚以外からだと伊勢原からが便利みたいです。伊勢原から約9Kmです。降りるバス亭は運転手さんに聞いたほうがいいです。)
*2 https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/20162006_00031.html
*3 https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/20162006_00030.html

「さとびとみやび」展では濱谷浩の「裏日本」は7-8点展示されていました。濱谷浩さんは、東京の避暑地として有名だった大磯にお住まいだったんですね。初めて知りました。

藤田昭子の作品は中島先生の写真のほかにミニチュア(といっても大きい)や焼成を撮影したビデオなんかもありました。映像から多人数で焼いていく祭りのようなパワーを感じました。

同時開催の「ダンボール物語」展は巨大なダンボールでつくった生き物のファンタジー的な展示でした。小学生が目を輝かせてみてました。小中学生以下は無料なので、夏休みにお子さん、お孫さんをつれていくといいかも?

作品目録に作家の解説動画のQRコードが印刷してあり、ギャラリートークに参加できないことが多いので便利だとおもいました。

鈴木知之 MonoriuM展



ゾーンシステム研究会の会員でもある鈴木知之氏の個展 MonoriuMがギャラリーE&M西麻布で始まりました。(7月30日まで)

MonoriuMというのは、モノクロームの植物標本(Herbarium)という意味を込めた造語だそうです。

すべて縦位置に統一された、黒バックから浮き出るような植物たちの肖像が並んでいます。作者によれば、ハイコントラストとテクスチャを両立させるために粗粒子の表現を工夫したとか。

粒子の荒れ方は気に入った形になるよう、現像方法の試行錯誤を重ねた苦心の表現です。半世紀前に流行した「アレ・ブレ」などとは全く異なる表現を追求したという研究熱心に頭が下がります。

植物は、実際に生えている場所で黒バックを使い、光線状態を勘案しながら撮影したそうです。ブロスフェルトのように形の面白さを前面に出すだけでなく、生えている環境をも考慮した画面の構成になっているようでした。



2023年7月9日日曜日

写大ギャラリー 形あるもの、形なきもの

 7月8日の例会後、有志で写大ギャラリーの「形あるもの、形なきもの」展を見学しました。

東京工芸大学創立百年を記念した、卒業生の作品展示です。中島代表のプリント(Strange of Light)前では、作者による臨時のギャラリートークになりました。

また写大ギャラリー専門職員の深尾さんには展示について詳しい説明をしていただき、大へん有意義でした。入り口わきには本城直季による巨大な渋谷の写真(small planet)が掲げられ、会場に入ると田沼武能によってその60年前に撮影されたほぼ同じ場所の写真(渋谷駅前広場 1948年)が出迎えるという仕掛けです。歴史を伝える写真やコマーシャル写真などをぐるっと鑑賞すると、最後は大辻清司による実験的な作品で締めくくられます。

その後、ギャラリーの収蔵庫も見せてもらうことができました。20℃50%RHに保たれた庫内には入れませんが、無酸性ボックスに保存された膨大なプリントには圧倒されます。その庫内から展示スペースまで、外気にさらすことなく移せるという配慮も、写真プリントの貴重さを改めて認識させられました。
研究会のポートフォリオがこのコレクションに加えていただけたのは、名誉なことです。





2023年6月11日日曜日

古谷津純一写真展 『残像』 - 木々の中の散歩道 -

 6月10日の例会が終わってから、有志数人で中野のギャラリー冬青で開催中の 古谷津純一写真展『残像』- 木々の中の散歩道 - にお邪魔しました。関東が梅雨入りしてから間もない時期ですが、幸いなことに雨にはあわないで済みました。

従来、古谷津さんの写真は8×10を使い、きわめて精緻な描写をされてきましたが、今回は一転してコットン ラグベース印画紙を使い、柔らかな雰囲気になっています。

一見すると写真の教科書に載っている、スティーグリッツや福原信三などの描写をほうふつとする穏やかで情感に満ちたスナップショット風ですが、そのイメージを仕


上げるためにはまず小型カメラで撮影・現像してから改めて大判で撮るなどの周到な準備を重ねているそうです。タイトルの「残像」にはそんな意味が込めてあるというお話でした。

プリントの仕上げにも、ハイライトとシャドー部には異なった調色剤を使うスプリットトーニングを行うなど、撮影準備から機材選び、プリント作業すべてにご自分のイメージを定着するためのこだわりが詰め込まれています。

こんな写真談義をしていると本当に時を忘れます。

蛇足: 古谷津さんの地元、野田付近で売られている「焼ねぎ千葉味噌」は、ご飯が無限に食べられるという絶品です!

2023年6月3日土曜日

Monochrome Film Workshop展、「架空の街」展

未明から午前中は台風の影響で大雨となった土曜日、昼過ぎには天気も回復してきたので、写真展をふたつ観ました。どちらも地下鉄有楽町線の沿線と云える場所です。

Monochrome Film Workshop展

会員であるS氏が講師を務めている暗室ワークショップの終了展で、7名が展示しています。作風も展示方法もひとそれぞれで個性があり楽しめます。


形や動き、そして意味などの共通性によって異なるショットをペアにして展示したW.P.さんの作品は、着想とプリント技術がみごとです。

また、海外取材かと思える写真が代官山周辺の旧山手通り沿いで撮ったものと聞き、見慣れた場所に異世界?をみる、写真ならではの表現に感心しました。

初めて訪問したgallery niw は落ち着いた、よい雰囲気の会場でした。

江戸川橋から地下鉄に乗り、有楽町でおりてすこし歩きます。

鈴木彩百写真展 架空の街

たまたま手にしたDMの写真が造形的で興味をそそられたこともあり、足を伸ばしてみました。タイトルも謎めいています。作者のおなまえは「あやも」と読むそうです。 

都市のデザインを、主に仰角できっぱりとパースをつけ、コントラスト高目な白黒写真に仕上げてあります。

会場は老舗の画材店 月光荘の地下ですが、狭いのと観客が多いこともあってゆっくりお話をきくことが出来ず残念でした。




2023年5月17日水曜日

「光の系譜」展

 三島由紀夫が三白眼でにらんでいるポスターの前を通り、写大ギャラリーに入ります。

受付でキャプションが書かれた冊子を借りて鑑賞する仕組みはユニークで、壁面に作者名やタイトルがないのですっきりした印象です。周囲に人がいなければ、作者やタイトルの当て比べをするのも一興でしょう。

かく云う私も、その冊子を見ずに作者やタイトルを思い出そうとしたのですが、認知機能の衰えに愕然とする羽目になりました。

かつて研究会での講演で、細江英公先生がこんなことを言われたのを思い出しました。「もしクラシック音楽に詳しいと自称する人が、ベートーベンを知らないと言ったらその人は信用できないだろう。同様に、ポール・ストランドを知らない写真の専門家は信用できない。」

工芸大学創立100年記念というだけあって、古今の名作が展示されていて圧巻です。最後がタルボットの「自然の鉛筆」というのも凝った演出です。

作品を見ていると、個々のプリントのクオリティもさることながら、これだけ多くの人々が、それぞれの思いで作品を創ったことにも圧倒されました。

2023年4月12日水曜日

社名変更、創業時のオリエンタル写真工業株式会社へ



サイバーグラフィックス株式会社が、社名を創業時の名称であるオリエンタル写真工業株式会社に変更したそうです。
https://www.cybergraphics.co.jp/pg4813322.html
残念ながらwebショップはいまだ一時休業中ですが、こちらもオリエンタルウェブショップに名称変更のようです。(バナーのORIENTALは昔のロゴです。写真は90年代の印画紙のパッケージですが、同じロゴが使われています。)

ニューシーガル、イーグルといった「ORIENTAL」ブランド商品を大切にしていくという決意を感じしました。イルフォード以外の一般的な多階調用のセーフライトが使える印画紙の選択肢が残るのはありがたいです。

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1493047.html


2023年4月8日土曜日

3Dプリンタで作る写真用品


以前紹介したlomograflokのピントグラスが欲しくて、数カ月前3Dプリンタを買いました。
※大きさは35mm専用引き延ばし機と同じくらい。値段は約3万円です。材料は約2000円/kgです。動作中の消費電力は液晶テレビと同等です。動作が長時間になること、放熱ファンが案外うるさい(小型サーバーのファンと同じくらい)&材料によっては悪臭が発生する場合もあるので、我が家では家の隅に位置する台所のガスコンロの近くに置いてます。

実際に3Dプリンタで印刷した写真用品や、印刷してみたい写真用品を紹介します。

(1)ミノルタスポットメーター用ゾーンスケール
URL https://www.thingiverse.com/thing:4949157
pentaxのデジタルスポットメーターのようなダイアルを追加する道具です。
ただし、ゾーンの表記が5,4,3,2,1Λ1,2,3,4,5のような表記になっています。
シールを自作してはりつければよいとおもいます。
ダイアルをなめらかに回すには部品の精度が重要です。
しかし、印刷したままでは組み立てできず、プラスチックは縮むということを学びました。
同じ作者の方が、汎用的なゾーンスケールも公開されています。
印刷時間:3時間くらい
ゾーンシステムのテキストから、ゾーンスケールのシールを作ってみました。
https://drive.google.com/file/d/1SpHrUEEL2BM-W2Tv9uztO3IAjGpVVBMO/view?usp=share_link

(2)lomograflok用のピントグラス
URL https://www.printables.com/model/85070-4x5-ground-glass-frame-for-use-with-a-lomography-i/files
以前、lomograflokは、1カット毎にカメラから割れやすいピントグラスを外す必要がある、とブログに書きました。
これがあれば、カメラのピントグラスは不要になります。
これもピント精度が命なので、調整しているところです。
印刷時間:8時間くらい

(3)lomograflokで正方形インスタントフィルムを使うための部品
URL https://www.printables.com/en/model/276605-lomograflok-instax-square-mod/files
lomograflokで利用できるのはINSTAX WIDEですが、lomograflokの内部部品を置き換えて正方形画面のINSTAX SQUARE「も」使えるようにするアダプタ。
正方形画面もおもしろいので、いつか試してみたい。

(4)4x5フィルム乾燥ラック
URL https://www.thingiverse.com/thing:4903440
湿板を乾燥するための折り畳みラックを模倣したようにみえます。
4x5フィルムを置くには、バランスを微妙にとる必要があり、使い勝手はいまひとつでした。
印刷時間:3時間くらい

(5)EPSONフィルムスキャナ用フィルムホルダー
URL https://www.thingiverse.com/thing:4038305
私の持っているフィルムスキャナは6x6を3駒スキャンできないホルダーしかついてません。
これがあれば6x6を3駒スキャンできるようになります。
3Dプリンタで印刷すると隅の部分が反り上がりやすいということを学びました。
印刷時間:5時間くらい

(6)パターソンタンク(35mm2本用)自動現像アダプタ
URL https://www.instructables.com/Spinmatic-Automated-Film-Development/
これは、現像時の攪拌を自動的に行う道具です。電子工作も必要になります。
まだ作っていないですが、わりあい簡単そうに作れる気がするため作ってみたいです。

(7)イルフォードの4x5ピンホールカメラ用の露出計算盤用のホルダー
URL https://www.thingiverse.com/thing:147404
イルフォードの4x5ピンホールカメラには露出計算盤のPDFが提供されています。
https://www.harmantechnology.com/harman-titan-4x5-pinhole-camera
その紙を張り付けるためホルダーです。厚紙でもいいのですが、耐久性がありそうです。
ピンホールカメラ自体を3dプリンタで作っている方は多数いらっしゃいます。参考まで。https://www.thingiverse.com/search?q=pinhole+camera&page=1&type=things&sort=relevant

(8)オートフォーカス調整機
URL https://www.thingiverse.com/thing:4324387
Amazonで似たような道具をみたことがあります。
単純な仕組みのわりには結構な値段です。
lomograflok用のピントグラスの調整のために欲しい気がします。
https://www.amazon.co.jp/JJC-%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E3%83%97%E3%83%AD%E7%84%A6%E7%82%B9%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9%E8%AA%BF%E6%95%B4%E3%83%84%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9%E6%A9%9F%E8%83%BD%E3%81%8C%E6%90%AD%E8%BC%89%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%81%AB%E5%AF%BE%E5%BF%9C/dp/B08SH1JWG8/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=14T4GRDS37ITD&keywords=%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9+%E8%AA%BF%E6%95%B4&qid=1680915178&sprefix=%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9+%E8%AA%BF%E6%95%B4%2Caps%2C362&sr=8-3

(9)4枚羽根イーゼルマスク
URL https://www.printables.com/model/429203-darkroom-easel/files
こんなものも作れるのかと感心しました。
大きな部品を印刷するには大きめな3Dプリンタが必要となり、私の3Dプリンタでは無理でした。

(10)やわらかいレンズキャップ
URL https://www.thingiverse.com/thing:5793382
3Dプリンタでは固いプラスチック以外に、スマホ用のやわらかいケースみたいな材質でも印刷できます。直径も自由自在に変更できます。
Minolta himatic7用のレンズキャップを探していたのですが、レンズキャップだけでは見つからないため助かりました。
印刷時間:30分ぐらい

(11)4x5フィルムの箱
URL https://www.thingiverse.com/thing:4119828
FOMAの4x5フィルムは富士の4x5フィルムと違い印画紙のような箱に入っています。
注意深く扱っていますが若干不安を覚えます。
4x5フィルムの空き箱は売っていないため、富士の4x5フィルムの空き箱がほしい方はこれを使うといいとおもいます。

(12)印画紙乾燥ラック
URL https://www.printables.com/model/78864-darkroom-drying-rack
現在バライタ紙を乾燥するのに洗濯ばさみをつかっており、洗濯ばさみの跡がのこり困ってます。
改善を思案中にみつけたもの。パターソンがRC紙用に似たようなものを売っていたような・・7560円・・微妙な値段。
https://www.inkjet-online.jp/shopdetail/000000002401/
RC専用と書いてあるので、構造的にバライタ紙は無理そうですね。残念。
絵画用の乾燥ラックは腰のないバライタ紙を乾燥するのは無理だし、自作するしかないか・・

(13)4x5フィルム1枚を現像するタンク
URL https://www.thingiverse.com/thing:3662167
150mlで現像できるとのこと。多人数でワークショプするときにいいかも?
個人で使う場合は現像液の節約にはなりますが、現像時間は変わらないため、使うかなぁ?

(14)4x5フィルムホルダー
URL https://www.thingiverse.com/thing:4603056
フィルムの感度測定の際に、4x5フィルムが何枚も必要なのに悩んでました。
最近、会報のバックナンバーをみて、多重露出する方法があるのを知りましたが、
3Dプリンタでなんとかならないかと思案中。引き蓋だけ印刷してみました。
既製品のホルダーには入るのですが、引き蓋が薄いため、日光にかざすと透けてしまいます。ちょっと難しそうです。
(説明にも引き蓋は同じ形をアルミで作ってくださいと書いてありました。)
印刷時間(引き蓋のみ):2時間くらい

(15)RittreckView用 5x7back
URL https://www.youtube.com/watch?v=YhO-j6LIKIk
5x7が使える安いカメラというとRittreckViewですが、ヤフオクでみかけるのはほとんど4x5バックがついたものです。
5x7をつかえるようにする部品になります。いやぁ、すごいです。この調子で8x10もお願いしたい(笑)。
5x7や8x10というと、intrepidが安いということを最近知りました。8x10で72600円!でびっくり。
https://intrepidcamera.co.uk/
そこにカメラの製造工程のビデオがあるのですが、蛇腹に普通の紙や革のものは使っておらず、おそらく3Dプリンタで印刷した柔軟なゴム状のプラスチックをつかっています。
大判カメラの中古は蛇腹が痛んでいることが多く悩みの種ですが、3Dプリンタで印刷できるなら助かります。
(ただし、小さく折り畳むのは苦手みたいです。)

(16)polaroid-110/120用の4x5filmアダプター
URL https://film.kolve.org/darkroomdiy/polaroid-110-convert-to-4x5/
polaroid-110/120用のポラロイドフィルムは90年代に製造中止になっている影響で案外安く買えます。
レンズが4x5をカバーできるものなので、4x5フィルムを使えるようにする改造されている人がけっこういます。手持ちで4x5フィルムで撮影できます。
私もやってみようと思いカメラは買ってみたのですが、ハズレを引いてしまい、いろいろ修理が必要で、修理の方法から勉強中です。

~以上~

2023年2月26日日曜日

鈴木孝史先生講演 「黒白銀塩写真に魅せられて」

 日本写真芸術協会が開催する第4回写真プリント研究会を聴講することが出来ました。

鈴木孝史先生「黒白銀塩写真に魅せられて」 2023年2月25日 14~16時 JCIIビル6階会議室

学生時代から銀塩写真に親しんだ鈴木先生の、「写真」への愛情が滲み出た講演をたっぷり2時間聴くことが出来ました。

Tri-X万能の時代、印画紙は月光の3号が標準、ヨドバシカメラの黄色い値段表を穴が開くほど眺めたことなど、一定の年齢のひとにはまさに「あるある」の話題ばかりです。

「写真はプリントで評価されるべき」「良いプリントを制作するためにはハッキリとしたイメージ再現の目標を持つこと」という基本的な考え方にたち、様々なフィルム、印画紙、現像薬品を試した成果も見せていただきました。

その作例を見ると、普段おなじみのフィルムや現像薬品を使っても全くレベルの違うプリントに仕上がっていることに驚かされます。35mmから16×20にプリントした作品を見ても、階調性や粒状性などが、ブローニーかそれ以上のフォーマットで撮ったかのような仕上がりになっています。私たちがいかに素材の性能を使い切っていないのかを思い知らされました。

そのほか、鈴木先生がプリンストン大学でPeter Bunnel教授について現代アメリカ写真を研究した時のエピソード、日本ではなぜ「写真」が芸術として評価されてこないか、などなど興味深い話題が尽きませんでした。

2023年2月25日土曜日

山下誠二写真展

 久しぶりに銀座の街を歩くと、少し前には見かけなくなっていた外国からの観光客がずいぶんと増えているように感じます。

その銀座三丁目のNICHE GALLERYで開催された山下誠二写真展の最終日にお邪魔しました。

入口です  

うっそうとした森、雪が吹き付ける岩山など、ほとんどモノクロームとも思えるイメージです。手すき和紙の職人に何度も試作を繰り返してもらい、ようやく自分のイメージを定着することができたという、こだわりのプリントが並んでいます。
作者は最近、精力的に個展をひらいていて進境著しいものをお見受けしました。
これからの展開も楽しみです。






2023年2月20日月曜日

コンパクトな濃度計 Printalyzer Densitometer (1)

先週の例会で濃度計について紹介させていただきました。ipadで録画されており緊張したせいか?あまり上手に説明できなかったため、ブログでリベンジさせてください(笑)。

例会でいただいた主な質問は以下のとおりです。

1)販売店はどこですか?
2)製造国はどこですか?
3)価格はいくらでしたか?
4)キャリブレーションできますか?
5)反射光も対応しますか?
6)相対的な濃度を測れますか?
7)電源はなんですか?
8)ボディは3Dプリンタ製ですか?

順番に答えていきます。
1)販売箇所はメーカーのwebサイト(https://www.dektronics.com)です。
   メーカーによるとその他で扱いはないそうです。
2)メーカーの住所はアメリカです。アメリカ カルフォルニア州で組み立てをやっているようです。組み立ての様子がビデオで公開されています。
3)価格は$299でした。決済手段はPaypalが使えたのでそれを使いました。
   (普通のクレジットカードもあったはず・・)
  発送はUPS(国際宅配便)かUSPS(郵便)どちらを選択する形でした。
  日本への送料はUPSのほうが若干安く$54でした。そのため決済額は$353でした。
  $353は現在のレートだと4万5000円程度ですね。(微妙・・)
  1週間ほどで、ヤマト運輸が届けてくれました。消費税として2100円徴収されました。
  SilverSaltで売っている濃度計は10万を超え使用頻度を考えると非常に高価に感じる価格なので、それとくらべると安価ですが、同じデジタルガジェットであるスマホが数万で買えることを考えると「安い」と感じる値段でもなく微妙な値段ですね。
他の濃度計にない、1)置く場所に困らない、2)モバイルバッテリーがあれば貸し暗室等に持っていくことも可能で「印画紙の号数選択に迷わないでも済む」、というニッチなところに価値を感じるかですね。
4)すでにキャリブレーションされた状態で出荷されています。
   キャリブレーション結果はQuickStartGuideにシールが張ってあります。
   自分でキャリブレーションを行うことはもちろん可能で、その時に使う反射原稿、透過原稿も付属します。
5)透過光だけでなく反射光も対応します。モードボタンで測定モードを切り換えします。
6)すぬけのネガを0として、相対的な濃度を測ることが可能です。
7)USB-TypeCの端子(入力は5V 150mAでした、ダイソーで売っているUSBコンセントで大丈夫かとおもいます。)がついており、そこから電源供給されます。据え置き型濃度計は家庭用コンセントが必須でしたが、これはモバイルバッテリーがあれば、コンセントは不要です。内蔵バッテリーはないため、単体では使えません。
8)メーカーによるとレンズ部の白いキャップは3Dプリンタ製だそうです。本体のプラスチック部分は3Dプリンタ特有の縞模様はみえません。3Dプリンタは進歩しているので、断言はできないです。

まだ実戦使用はしていないため、あまり詳しい話しはできないのですが、後日アップデートしたいとおもいます。
Webサイトに日本語の説明書はないのですが、メーカーに問い合わせたところ、今のところ翻訳版の提供予定はないそうです。また、ボランティアで日本語に翻訳したマニュアルをブログに掲載することの可否を確認したところ、問題ないという返事だったので、Web提供されていない、QuickStartGuideの翻訳を添付しておきます。(この記事をごらんになった、メーカーの方から、文書のファイルをいただきました(ありがとうございました。)。それをベースに作り直しました。)
2023/3/12更新:詳細マニュアルの翻訳を追加しました。











非公式QuickStartGuide(日本語)