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2023年2月26日日曜日

鈴木孝史先生講演 「黒白銀塩写真に魅せられて」

 日本写真芸術協会が開催する第4回写真プリント研究会を聴講することが出来ました。

鈴木孝史先生「黒白銀塩写真に魅せられて」 2023年2月25日 14~16時 JCIIビル6階会議室

学生時代から銀塩写真に親しんだ鈴木先生の、「写真」への愛情が滲み出た講演をたっぷり2時間聴くことが出来ました。

Tri-X万能の時代、印画紙は月光の3号が標準、ヨドバシカメラの黄色い値段表を穴が開くほど眺めたことなど、一定の年齢のひとにはまさに「あるある」の話題ばかりです。

「写真はプリントで評価されるべき」「良いプリントを制作するためにはハッキリとしたイメージ再現の目標を持つこと」という基本的な考え方にたち、様々なフィルム、印画紙、現像薬品を試した成果も見せていただきました。

その作例を見ると、普段おなじみのフィルムや現像薬品を使っても全くレベルの違うプリントに仕上がっていることに驚かされます。35mmから16×20にプリントした作品を見ても、階調性や粒状性などが、ブローニーかそれ以上のフォーマットで撮ったかのような仕上がりになっています。私たちがいかに素材の性能を使い切っていないのかを思い知らされました。

そのほか、鈴木先生がプリンストン大学でPeter Bunnel教授について現代アメリカ写真を研究した時のエピソード、日本ではなぜ「写真」が芸術として評価されてこないか、などなど興味深い話題が尽きませんでした。

2023年2月25日土曜日

山下誠二写真展

 久しぶりに銀座の街を歩くと、少し前には見かけなくなっていた外国からの観光客がずいぶんと増えているように感じます。

その銀座三丁目のNICHE GALLERYで開催された山下誠二写真展の最終日にお邪魔しました。

入口です  

うっそうとした森、雪が吹き付ける岩山など、ほとんどモノクロームとも思えるイメージです。手すき和紙の職人に何度も試作を繰り返してもらい、ようやく自分のイメージを定着することができたという、こだわりのプリントが並んでいます。
作者は最近、精力的に個展をひらいていて進境著しいものをお見受けしました。
これからの展開も楽しみです。






2023年2月20日月曜日

コンパクトな濃度計 Printalyzer Densitometer (1)

先週の例会で濃度計について紹介させていただきました。ipadで録画されており緊張したせいか?あまり上手に説明できなかったため、ブログでリベンジさせてください(笑)。

例会でいただいた主な質問は以下のとおりです。

1)販売店はどこですか?
2)製造国はどこですか?
3)価格はいくらでしたか?
4)キャリブレーションできますか?
5)反射光も対応しますか?
6)相対的な濃度を測れますか?
7)電源はなんですか?
8)ボディは3Dプリンタ製ですか?

順番に答えていきます。
1)販売箇所はメーカーのwebサイト(https://www.dektronics.com)です。
   メーカーによるとその他で扱いはないそうです。
2)メーカーの住所はアメリカです。アメリカ カルフォルニア州で組み立てをやっているようです。組み立ての様子がビデオで公開されています。
3)価格は$299でした。決済手段はPaypalが使えたのでそれを使いました。
   (普通のクレジットカードもあったはず・・)
  発送はUPS(国際宅配便)かUSPS(郵便)どちらを選択する形でした。
  日本への送料はUPSのほうが若干安く$54でした。そのため決済額は$353でした。
  $353は現在のレートだと4万5000円程度ですね。(微妙・・)
  1週間ほどで、ヤマト運輸が届けてくれました。消費税として2100円徴収されました。
  SilverSaltで売っている濃度計は10万を超え使用頻度を考えると非常に高価に感じる価格なので、それとくらべると安価ですが、同じデジタルガジェットであるスマホが数万で買えることを考えると「安い」と感じる値段でもなく微妙な値段ですね。
他の濃度計にない、1)置く場所に困らない、2)モバイルバッテリーがあれば貸し暗室等に持っていくことも可能で「印画紙の号数選択に迷わないでも済む」、というニッチなところに価値を感じるかですね。
4)すでにキャリブレーションされた状態で出荷されています。
   キャリブレーション結果はQuickStartGuideにシールが張ってあります。
   自分でキャリブレーションを行うことはもちろん可能で、その時に使う反射原稿、透過原稿も付属します。
5)透過光だけでなく反射光も対応します。モードボタンで測定モードを切り換えします。
6)すぬけのネガを0として、相対的な濃度を測ることが可能です。
7)USB-TypeCの端子(入力は5V 150mAでした、ダイソーで売っているUSBコンセントで大丈夫かとおもいます。)がついており、そこから電源供給されます。据え置き型濃度計は家庭用コンセントが必須でしたが、これはモバイルバッテリーがあれば、コンセントは不要です。内蔵バッテリーはないため、単体では使えません。
8)メーカーによるとレンズ部の白いキャップは3Dプリンタ製だそうです。本体のプラスチック部分は3Dプリンタ特有の縞模様はみえません。3Dプリンタは進歩しているので、断言はできないです。

まだ実戦使用はしていないため、あまり詳しい話しはできないのですが、後日アップデートしたいとおもいます。
Webサイトに日本語の説明書はないのですが、メーカーに問い合わせたところ、今のところ翻訳版の提供予定はないそうです。また、ボランティアで日本語に翻訳したマニュアルをブログに掲載することの可否を確認したところ、問題ないという返事だったので、Web提供されていない、QuickStartGuideの翻訳を添付しておきます。(この記事をごらんになった、メーカーの方から、文書のファイルをいただきました(ありがとうございました。)。それをベースに作り直しました。)
2023/3/12更新:詳細マニュアルの翻訳を追加しました。











非公式QuickStartGuide(日本語)

2023年1月15日日曜日

阿部了写真展「ベントーランド」「シリウス」で1月18日まで(日曜休み,最終日は15:00迄)

NHKの「サラメシ」って番組ご存じでしょうか?https://www.nhk.jp/p/salameshi/ts/PVPP6PZNLG/
多彩な職業の人々の様々なランチを徹底的にウォッチする番組です。私は在宅勤務の昼ごはんをたべながらみています。
その番組で「お弁当ハンター」として活躍されているのが阿部了さんです。その阿部了さんの写真展「ベントーランド」を見に行ってきました。
カラー写真のみで、ゾーンシステム研究会的要素はフィルムを使っていることぐらいですが、写っている方が幸せそうに写っており、ほっこりしたので共有します。
ふつうの人のお弁当を撮る仕事は、「サラメシ」の仕事以前に、ANAの機内紙のエッセイ(写真は阿部了さん、文章は奥様の阿部直美さん)としてかなり長くやられているとのことです。ANAの機内紙のエッセイを単行本化したものを、会場で購入(お二人のサインもいただきました)しました。写真もいいですが、文章のほうも丁寧な取材が伝わってくる味わい深いもので、人気なのはうなづけます。ご夫婦でこんなすばらしい仕事をされているなんて、素敵だとおもいます。あと3日しかありませんが、興味がある方はぜひどうぞ。
※市井康延さんが書かれた写真展レポートに阿部了さんへのインタビューも書かれているので併せてご覧になってください。https://dc.watch.impress.co.jp/docs/column/shashinten/1469868.html





 

2023年1月9日月曜日

LomoGraflok実写結果

LomoGraflokにはinstax wideフィルムを使います。2021年期限切れのモノクロフィルムが格安で手に入ったので、実写してみました。縦位置でとったので、フィルムホルダーがwistaに対してぶかぶかな点は気になりませんでした。

露光せずに現像してみましたが、最大黒濃度が圧倒的に足らない感じです。フィルムの品質劣化のせいか、もともと「そういうもの」なのか?よくわかりません。カメラ店に置いてあるサンプルも最大黒濃度はいま一つだったので、「そういうもの」の可能性が高いです。
カラーのサンプルはきちんと黒がでているので、instaxはカラーのほうがいいかもしれません。箱に書いてあるISO800で露出計の出た目で撮影したら一絞り半アンダーでした。一絞り半プラスしてなんとかなりましたが、ラチチュードがとても狭いです。なかなかぴったりの露出にきめるのは大変でした。拡大すると、細かい部分まできっちりプリントされています。

このフィルムを何に使うか?という点は悩みますね。普通のフィルムと、1)フランジバック、2)画面サイズ、3)感度・ラチチュード、全部違うので、普通のフィルムの失敗防止のため使うという使い方は無理だと感じました。迅速に結果が見えることを利用して、大判カメラのアオリ操作の習得に使うとかが考えられます。また、アオリ操作で得られるパンフォーカス×インスタントの色の柔らかさ活かした表現のためつかうのもありますね。

気になるのは、必須となるinstax wideフィルムの供給状況ですね。量販店にしかありません。フィルムはカラー(白枠)10枚1600円程度、カラー(黒枠)10枚2000円程度、モノクロ(白枠)10枚2200円程度の3種類ですが、ビックの川崎店ではいずれも売り切れでした。ヨドバシの川崎店では3種類売ってました。キタムラではwideは扱いがありませんでした(miniとスクエアのみ扱い)。3Dプリンタでスクエアフィルムも使えるようにする改造をされている方もいますので、wideの供給状況をみるとやってみる価値があるかもしれません。
https://www.printables.com/en/model/276605-lomograflok-instax-square-mod/files

-備考-
同梱のカードのQRコードを読むとわかりますが、lomograflokの説明書は以下にあります。参考まで。https://downloads.lomography.com/get/nqr09vr0

2023年1月6日金曜日

The Base Point 閉店

 イルフォードなどの感材を扱っていた神田の The Base Point が3月5日で閉店するそうです。 直売店として利用していた会員も多かったのですが残念です。

ホームページによれば、サイバーグラフィックス(株)とイギリスのHARMAN technology社との間の日本総代理店契約が解消されたためだそうです。

銀塩写真の環境はさらに厳しくなります...

2022年12月26日月曜日

シャッタースピードテスター

12月の定例会で会員の方にお見せしたシャッタースピードテスターの情報を共有します。動画のやり方をまねして組み立てしただけなので、オリジナル要素は買い物リストだけで恐縮です。かなり明るいライトでないと安定動作しない感じです。買い物リストに書いたライトは作者の方に教えていただだいたものと同じだとおもいます。普通の単三電池でも光りますが、14500の電池のほうがより明るく光ります。シャッタースピードの表示は、xxミリ秒とか1/xxx秒といった中途半端な表示となりますが、「JIS B 7091:1992 カメラ用シャッタ 」の「参考表1 露出時間の許容範囲」と照らし合わせば許容範囲に入っているか判断できます。シャッタースピードテスターの内部プログラムは変更可能なので、許容範囲内か表示するのは難しくないはず。来年挑戦します。


シャッタースピードテスター関連
・作成方法、操作方法
   以下の動画を参照してください
   https://www.youtube.com/watch?v=BVyJSUThQfs&t=319s
・部品リスト (各1個 全部、秋月で揃えられます)
   Seeeduino XIAO https://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-16135/
   1020円
   ミニブレッドボード https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-05155/
   130円
   128x64 I2C OLED ディスプレイ https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-12031/
   580円
   フォトトランジスタ NJL7502L https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-02325/
   100円(2個入り)
   抵抗 10KΩ https://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-25103/
   100円(100本入り)
   ジャンパーワイヤー https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-02315/
   300円
   ※別途USB-typeCで接続できるACアダプタかモバイルバッテリーが必要です。

ライト関連
・リチウムイオン充電池 規格14500,3.7V 容量750mah 長さ5cm
   320円
  ヤフオク
  ■正規大容量 14500 リチウムイオン 充電池 バッテリー 懐中電灯 ハンディライト06
  https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u1072242492
・リチウムイオン充電池の充電器
   390円
   ヤフオク
   ICR123A 18650 10440 14500 16340 18350 18500 万能充電器 急速充電器 バッテリー 懐中電灯 ヘッドライト 充電池 03
   https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f1072631183
・ライト
   600円(まとめ買いするとさらに安い)
   メルカリ
   小型LED懐中電灯(CREE社Q5搭載・新品)#1118a
   https://jp.mercari.com/item/m14959249111




2022年12月24日土曜日

LomoGraflok Instax wide専用 グラフレックス規格フィルムホルダー

> ※LomoGraflok 公式ページで12/25まで特価販売中。
> 公式ページの説明はさっぱりわからない。以下の動画がわかりやすい。
> https://www.youtube.com/watch?v=UkSsvNTiG2U
> かなり厚みがある様子だが、愛機WISTA45Dでつかえるだろうか?(注文したので年内に届く予定)

12/22発注して、12/24佐川急便で届きました。商品に含まれる部品は、a)本体(ダークスライド含む)、b)フレーミングを確認するためのアダプタ、でした。b)のほうは厚みが23mmあって、ピントグラスをつけたままカメラに滑り込ませることができました。単に画面サイズの穴があるだけで、ピントはカメラのピントグラスを使う形です。一方、a)のほうは厚みが50mmあって、ピントグラスをつけたまま滑り込ませるのは無理そうでした(WISTAの説明書で何mmまでいけるか未確認ですが、壊れそうなのでやめました)。WISTA45Dのピントグラスを外せば(私のカメラはかなり固く外すのが難しい)、a)を取り付けることができます。ただし、組み合わせが緩く、本体に手を添えずダークスライドを引くと、ダークスライドだけでなく本体も動いてしまいます。光線引きも不安なので、工夫する必要がありそうです。

撮影プロセスは、1)bをカメラに入れてフレーミング、ピント等を合わせて、2)(WISTA45Dの場合は)ピントグラスを外す、3)aをカメラに付ける、4)ダークスライドを引いて撮影、という流れです。WISTA45Dの場合は2)が大変なので、大変そうです。

インスタントだけで撮影するならば、グラフロック規格で固定可能で、instax wideのフレーミング/ピントを確認できるものを自作すれば、2)をスキップできるので、なんとかしたい。

フィルムが届いていないため、撮影についての感想は後日追記します。




ワイズクリエイト来春廃業、店舗最終営業は12/27

 ゾーンシステム研究会の写真展情報をとりあげていただいたこともある、大中判カメラ専門店「ワイズクリエイト」が来春廃業します。店舗の最終営業日は12/27です。












店舗では出版物、オリジナルグッズ、委託中古品の販売が実施されています。閉店に備え値下げされており、店主の木戸さんによると「だいぶ売れてしまった」そうです。気になる方はお急ぎください。(ネット販売は1月までの模様です)

http://www.yscreate.co.jp/

もともとプロユースが多かった大判カメラの解説書は、玄光社から多く出版されていますが、プロを対象としたものがほとんどでした。そんな状況の中、2008年ワイズクリエイトから「大判カメラマニュアル」が出版されました。35mm/中判からステップアップしたアマチュアにはわかりにくいアオリ操作について、写真を多用した解説がされており「親切」「労作」という形容詞がぴったりの本です。アマチュアの大判カメラユーザには必携の書と言えます。












12/22に店舗を訪れ、店主の木戸さんに「初心者が撮影技術を身につけるため数をこなす必要がある。大判はデジタルと違い現像があがるまでタイムラグがあるので、それが難しい。」という悩みを相談してみました。

木戸さんから「現行のインスタントフィルムinstax wideをグラフレックス規格の大判で使えるフィルムホルダー(LomoGraflok※)があるので、つかってみては?」という悩みがスッキリ解消できる情報を教えていただけました。著作からも感じられる、アマチュアによりそった「親切」な対応で、感激しました。

※LomoGraflok 公式ページで12/25まで特価販売中。公式ページの説明はスペックがさっぱりわからないですね、以下の動画がわかりやすいと思います。かなり厚みがある様子だが、愛機WISTA45Dでつかえるだろうか?(注文したので年内に届く予定)
https://www.youtube.com/watch?v=UkSsvNTiG2U

※2019年出版の「東京下町界隈 カメラ散歩」の訳あり品が特価だったので購入しました(残り2冊だったので、もうないかも?)。こちらも、「これでもか」という分量の写真/説明にくわえ、QRコードによる散歩動画、技術解説動画もあり、下町通になれそうです。オススメします。

2022年9月28日水曜日

内藤明写真展 happend

 ギャラリーE&Mの 内藤明写真展 happend にお邪魔しましてきました。

深い闇の中から浮かび上がる光は、より凄みを増しているようです。(前回お邪魔したのは2019年でした)

「水のある景色が多いですね」とうかがうと、「ゴミが写らないようにしている」という、すこし意外なお答え。さらに「日本の写真界では、作品の美しさについて議論することを避けてきたように思える」と、力説されました。


展示の最後は、それまでとは異なり、霧のかかった幽玄を感じさせるものでした。

わが研究会も11月には同じ会場で写真展を開きます。作品の準備が追い込みに入っていますが・・・


2022年7月25日月曜日

素晴らしかったルートヴィヒ美術館展

 この週末六本木の新国立美術館にて開催中の《ルートヴィ
美術館展》をみてきましたが、「期待以上」の素晴らしい
展覧会でした。
 内容はドイツ ケルンの20世紀美術のコレクション展ですが、
表現主義絵画から1990年代に至る現代美術の優品が並ぶなか、
アウグスト・ザンダー、アレクサンドル・ロトチェンコ、マン
・レイなど同時代の重要写真作品もかなり豊富に展示され
いました。それぞれのセクションで絵画・彫刻と共通する時代
思潮が写真にも感じられましたが、特に第二次大戦以後のポッ
プ・アートやスーパーリアルな絵画表現において絵画と写真、
動画の境界が曖昧化され新しい局面に入ったことが印象的に
みてとれました。

 ケルンの人口規模は世田谷区程度ですが、そこにこれだ
の質・量の近現代美術コレクションがあるとは…やはり彼の
国と我が国の文化水準には大変な格差がある溜息がでまし
た。(JH)


2022年7月2日土曜日

Double Platinum 久保元幸×杉野信也 展

 東京の猛暑日も8日目となりました。モノクロームギャラリーレインで始まった「Double Platinum 久保元幸×杉野信也」展にお邪魔しました。(7/2~31の土日のみ開催)

会場にはプリンティングディレクターの久保氏がおられたので、いろいろとお話をきくことが出来ました。

会場ではプラチナプリントに持っていた既成概念を覆される、漆黒をベースにした陰影の強いプリントが目に飛び込んできます。ネガを使わず、紫外線レーザーで焼き付けるという特殊な技術を使った、これが唯一のオリジナルプリントになるのだそうです。

デジタル技術で可能になるイメージのプロセスもあるそうで、「古典技法」などと呼ばれるオルタナティブ・プロセスも新たな技術と組み合わせることで、より表現の幅を広げる可能性があると感じました。

写真家は杉野信也氏という、不勉強ながら初めて知るお名前でした。カナダ在住で、プラチナに限らず、様々なオルタナティブ・プリントを手掛けているそうです。写真集を拝見すると、ゴシック・ロマン的な世界に引き込まれます。

光は満ちているのに陰は限りなく深い、ヴェニスはそんなイメージを喚起する場所なのでしょうか。

それにつけても、昨今のプラチナやパラディウムの高騰は大変なことになっているそうです。国際情勢がこんなところにも影響しているのですね。

2022年7月1日金曜日

岡崎正人写真展 「掌の残像」

 猛暑が1週間も続き、外出にも命の危険が感じられる今日この頃ですが、中野のギャラリー冬青に岡崎正人写真展を観に行きました。(7月1日~30日まで)

作品はすべて横長のパノラマで統一され、不思議な光と陰に満ちています。どこか夢の中のようで、直線は湾曲し太陽も黒くぼんやりと輝いています。

撮影の種明かしを伺うと、使用したフィルムは歯科用パノラマレントゲンフィルムで、40年も前のものだそうです。とっくに期限は切れており、現像するとカブリがはげしく、ネガを見てもほとんどなにが写っているのかわからない。それを逆手にとって不思議な世界を表現するために、試行錯誤の連続にまる2年を費やしたと聞いて驚きました。

太陽が黒く写る「ソラリゼーション」はアダムスの作例にも登場しますが、望み通りの効果を出すための露出時間を求めたり、周囲が露出オーバーにならないよう撮影中に「覆い焼き」をするなど、完成した作品を見るだけではとうてい想像の出来ない努力があったそうです。

カメラは金属製ペンキ缶による手製で、広角撮影につかえるピンホール素材も各種探したとか。両面に乳剤が塗布されたレントゲンフィルムをムラなく現像するために、トレーに細工を施したそうです。どこか朦朧とした世界を仕上げるためにはメラから暗室処理まで独創やノウハウの積み重ねであることに作者の勢いを感じます。


来週は猛暑も少し治まりそうで、そうなれば暗室作業を再開できそうです。

2022年5月26日木曜日

スマートスタートタイマー

現像時間を計るのは普通のキッチンタイマーを使ってきたのですが、新たに「スマートスタートタイマー」というものを買いました。(エー・アンド・デイ製 AD-5715)
謳い文句は「3ステップの時間設定可能」「防滴構造」「触れずにスタート・ストップ出来る」などで、現像用に最適のようです。
見た目は普通のタイマーですが、例えば「現像10分」「停止30秒」「定着2分」という3種類の時間を設定できます。一回のスタートで連続して計れるので、キッチンタイマーを3個並べるより使い勝手は優れています。時間設定は裏側にあるボタンで行うので、慣れるのに少しコツが必要です。
防滴なので多少は濡れても差し支えないでしょうが、念のためポリ袋に入れました。非接触センサーは問題なく動作するようです。
 

2021年12月4日土曜日

井津建郎写真展のはしご

 快晴の土曜日、井津建郎氏の写真作家活動50年を期した写真展をはしごしました。

まず、東麻布のPGIで新作展「もののあはれ」。

8×10でとらえた能面のポートレートが中心で、作者は老境にいたって能の美を改めて発見したそうです。お面は見る角度や光の角度によって表現する感情が変化しますが、それを二次元のプリントに固定し、自分の表現としています。

8×10でアップにした能面はほとんど等倍の接写なので、その描写力も圧倒的です。


PGIのビルを出ると、東京タワーが間近に迫ってきます。
神谷町駅まですこし歩き、地下鉄小伝馬町駅のルーニィ247へ。
こちらはデビュー当時からの、主にプラチナを集めた「地図のない旅:1979~1992年」展。

DMにもなっているストーンヘンジと月がみごとです。間近に見ると、露光時間が長いので月が動いていて、時の流れも感じる仕掛け?になっていました。




ルーニィを出てぶらぶら馬喰横山駅まであるいていると、クラシックなビルが目につきました。なかなか良い雰囲気です。

2021年11月27日土曜日

フォトグラフィック アート アジア展

 先日の春日広隆個展CUBAと同じ会場で、恒例のフォトグラフィック・アート・アジア展を拝見しました。ゆったりした会場で、メンバー10名の個性的な展示が楽しめます。今年は例年より白黒の作品が多いように感じました。

写真の題材、メディアなど各メンバーのこだわりが感じられるものばかりです。そのバリエーションもさることながら、それぞれが自分の表現を追及し、内容や技術を実験していくという態度は見習うべきだと感じました。




2021年11月3日水曜日

写真展スタート

 ありがたいことにコロナの感染も急激に減少する中での開催となりました。

11月3日夕刻には展示が終わり、いよいよ明日からスタートとなります。パーティなどはできませんが、研究会のメインエベントなので、皆さん力が入っています。







2021年10月15日金曜日

春日広隆写真展 CUBA

 10月も半ばとなり、コロナも落ち着いてきた金曜の午後、表参道の GALLERY 5610に春日広隆氏の写真展を訪ねました。

キューバの街や人々を明るい色調で捉えた、今までとは少しイメージの変わった作品を楽しみました。

お話を聞くと、自分の記憶にある色を追及し、まさにそれが創作だと楽しんでおられるご様子でした。

なかでも、家々の壁の鮮やかなデザインを切り取った小品に、その魅力が凝縮しているようでした。

11月末には同じ会場でグループ展を開催されるとか。そのエネルギーにも感服します。

2021年9月28日火曜日

甲斐義明著 「ありのままのイメージ」

 「スナップ美学と日本写真史」というサブタイトルの分厚い本を一気に読みました。とてもスリリングで示唆に富んだ写真論です。いままで漠然と「スナップショット」というくくりで捉えていた写真たちも、それを成り立たせた社会の状況や価値観・ハードウエアの進化・そして何より撮影する側とされる側との関係など、多面的な分析がされています。

たとえば第4から5章では戦中戦後のプロやアマチュアの状況が考察されています。

何十年もの時を隔てて振り返ると「絶対非演出」という価値観が尊重されてきたのが不思議にも思えます。国策プロパガンダに協力したことへの反省から、土門たちが主唱した態度だということです。報道写真が「ヤラセ」を避けることは(表向きは)当然としても、アマチュアまでにも深く影響したことは興味深いことです。当時の「生活綴り方」との共通性を指摘する指摘も新鮮でした。そうだとすればこの価値観や美学は日本特有の現象なのでしょうか? 大多数のアマチュア写真家にとって都会(の貧しい部分)を撮ることが、大自然などより手近で簡単・キャンディッド写真のスリルを楽しめたという指摘も新鮮です。

本書のキーワードの一つでもある「窃視」が「盗撮」と言葉を変えてより日常化しているのは、その伝統なのでしょうか?

レッスンプロが、主としてカメラ雑誌を舞台にアマチュアを指導するという構図は、お茶や生け花などとそれほど変わらない趣味の世界の出来事だったのでしょう。

同時代のスターでもあった名取や木村が、戦争協力の経歴を棚に上げて平和を説いたり、カルティエ=ブレッソンと同列に扱われるようにしたことなど、思わず笑えるような指摘もあります。

本書の守備範囲は膨大で、とても全部は紹介しきれませんが、刊行時期がアサヒカメラや日本カメラという老舗写真雑誌の退場と同時期だったのは偶然とは思えません。

2021年9月15日水曜日

Exposure Value

 研究会では新たなゾーンシステム解説のパンフレットを編集していますが、その過程で気になることがありました。

そのひとつに「EV(Exposure Value)」について、単体露出計を使いマニュアル露出を行う研究会のなかでも認識に違いがあることに気づきました。

なかでも「EVはISO感度100で撮影するときの絞りとシャッターを表す数値」だという考えがありました。EVは絞りとシャッターの組み合わせを表すことに間違いはないのですが、ISO100に限定しているわけではありません。なぜこのようになったのでしょうか?

ひとつの推測として、ゾーンシステムで必須アイテムであるスポット露出計が考えられます。現在市販されているデジタルのスポット露出計は、ファインダーを覗いてスイッチを押せば、EVが表示されます。フィルムの感度は予め露出計にセットしておくので、被写体の明るさは同じでも、感度が変われば当然EVも変わります。

一方、むかしのペンタックス・スポットメーターでは同様にファインダーで数字を読み取りますが、その値はフィルムの感度を切り替えても一定のままです。読み取った数値を本体の計算ダイヤルに移し、そこでフィルムの感度を加味して絞りとシャッターを読み取ることになっています。

フィルムの感度設定によってファインダーの表示が変化するようなカラクリは、当時の技術ではむずかしかったのでしょう。

そのため、ペンタックスのファインダーで読み取った数値を「EV」と混同することがおきてしまったようです。(あくまで推測ですが)

改めてネットで検索してみると、ずいぶんいい加減な解説が目につきます。なかには「EV=TV+AV-ISO値」などという珍説もありました。

デジタルカメラは自動露出が当然なのでEVの知識がなくても支障はないでしょう。しかし銀塩写真の普及を願う身としては、正しい認識を広めたいと思うようになりました。